第61話
「ね~、その話って何なの?」
吉永もお腹が一杯になり、落ち着いて話を しようとした。リナを見つめた。 だが、その時だ。直ぐ隣のテーブルに、ドヤドヤと高校生が三人来て座った。十六歳位の女の子達だ。その子達が来て座ると、ガヤ ガヤと話し始めた。話しながらキャーキャー言って笑ったりもしている。さっきいた一人で食べていた中年の女性はいなくなっていた。 うわっ、これじゃ聞こえないよ!何て運が 悪いの?!頭に来る。リナはその高校生達を睨んだ。向こうはそんな事には丸で気付かす、会話を楽しんでいる。廻りの迷惑など丸で気にしていない。そういう年頃なのだろう。 「出よう。」 吉永がおもむろに立った。仕方が無い。 これでは無理だ。外に出ると、吉永が 言った。 「じゃあ、ドーナツ屋に行こうか。」 リナが吉永の顔を見る。まだ行きたいのか?!腹が立った。 リナは無言で駅の方へ歩きだした。慌てて 吉永が着いてくる。急いで横に並ぶ。 「どうしたの?」 リナは返事をしなかった。 「ねー、どうしたの?何を怒っているの?」 駅に着いた。北口だ。だが、さっきと同じ 南口の方へ歩く。こっちの方が廻りが広くて 落ち着く。さっきいた場所に行く。 「リナ、何してるの?」 吉永が聞いた。 リナが言った。 「もういい加減にしてよ!話す事があるならさっさと言ってよ。」 吉永が弁解がましく返事をする。 「だって、話そうとしたらあんな高校生達が来てうるさくなっちゃったから。」 「でもドーナツ屋に行こうとしたでしょ?」「だって、その方が落ち着くでしょ。」 ふん、行きたかったクセに。 「もう此処で良いからさ。話してよ。」 吉永もリナが怒っているので納得した様だ。「分かった。じゃ、言うよ。」 顔が真剣になった。 「リナ、又僕と付き合ってくれ。まだリナが好きなんだ。」 リナは吉永の顔を見入る。 「だって、千帆ちゃんと付き合ってんじゃ ない?もうマンションも借りて、そこにいるんでしょう?!」 「千帆とは別れる。」 「エッ?」 「千帆とは別れる。リナがもう一度付き合ってくれるなら、千帆とは直ぐに別れる。今日、帰ったら直ぐに言う。別れてくれ、と言うから。」 リナはやはり驚いた。自分に会いに来たのはこんな話だろうとは薄々思っていたが、それでも実際に聞くと驚いた。 勿論、嬉しかった。心が踊った。又一緒に いられる。又優しくされる。あんな事があったけど…。 何て返事しよう。何を言ったら良いんだ? 直ぐにオッケーするの?そんな事したらナメられるかも、だって、この人はあんな凄い 態度が取れる人だよ。だけど、やっぱり まだ好き…。
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