第51話

「でも、そこまで子供が欲しいなら、養子でも何でも貰えば良いじゃないの?何もそんな面倒臭い事をして、女なんか探さなくたって。」                 「駄目なんだよ、それじゃあ。」     「何で駄目なのよ?!」         ママが分からないと言う顔をした。    「あいつは、自分の血が入った子供じゃな きゃ駄目なんだ。自分の血が入った、自分の子供を警察に入れたいんだ。そして自分が年取った後も、その子供が後釜としてそこに居座る。偉くなって君臨する。言っていただろう、あの女が?警察に入れてトップに付かせるって、あの男が言ったって。」     「ああ、そうね。」           「なっ?だからそう言う事なんだよ。」  「ふ~ん。だけどそこまでして後釜が欲しいだなんてね。」             「ああ言う男はそうなんだよ。自分は特別な人間だ、エリートだ、凄い…そう思っているからな。だから、せっかく丁度良い女ができて喜んでいたのに。それがアッと言う間に 駄目になってな。悔しくてたまらない。そしてまだあの女に未練があるんだ。そんな、男がいきなりフラれてな!未練タラタラなんだよ。じゃなきゃ来ない。そんな女がいる所になど普通は幾ら誘ったって来ないよ。だけど気になるから、ああして来たんだ。だから、母親の事も何度も言っていただろう、馬鹿な下らない女の言う事を聞いたって。あれも、その親のせいで駄目になったんで、本当ならまとまっていた話だからな。母親さえ喜んで賛成さえしてりゃあ。だけど猛反対したんだろ。普通なら、こんな所に働いてて、あんな顔してりゃあ、幾ら馬鹿な親だって良い話だ位は分かる。分からない筈無いからな。なのにそこまで反対した。だからあの男は、馬鹿だからこんな良い話を蹴っただなんて思ってるが、そうじゃないんだ。馬鹿だからじゃ無いんだ。あれは、ああ言う男だから嫌だったんだよ。」               「だって、会った事無いんでしょう?」  「会った事なんか無くたって、分かったんだよ。」                 「どうして?」

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