第42話

エッ?何なの、今の?リナは驚いたが、もしか吉永は恥ずかしいからそんな声をあげたのかと思い、振り返りながら軽く会釈をして、又同じ様に礼を言うと、急いで更衣室へ行き中に入った。もう後は帰るだけだから、本当は早く着替えたいなぁ。そんな事を思っているとママが飛び込んで来た。リナが驚いて見る。                  「マリンちゃん、早く戻って。吉永さんが来てくれって。」             「エッ?だって、まだいるんですか、   吉永さん?」              「いるわよ。早く来て!マリンちゃんを呼んで来いって、そうしなきゃ帰らないって言ってるのよ。」             「何でー?」              「分からないわよ。でもいいから早く   来て。」                 何だか不安になった。          「でも、帰ったら出ていくから。ちゃんとに片付けますから。」           「いいから早く来なさい!」      「…。」                「早く!!」              ママは興奮状態だ。リナは何だか恐くなってきた。一体どうしたんだろう。そんなに変な事を言った覚えはないんだが。大体、吉永がこんな事をするなんて考えられない。もう とっくに外へ出たのかと思ったのに。別に そんなに飲んでなどいないだろう。いつも そんなに飲まないし、千帆が飲ませた訳でも無いだろう。勧められたとしても、吉永が そんな事をしないだろう。        リナは嫌々、ママに付いて出て行った。  さっきと同じ位置に吉永がいる。小杉や大沼もそう。女の子達も、やはり何なんだろう、どうしたんだろうと言った感じで殆ど同じ 位置だ。千帆が吉永から少し離れた所に立ち、その前に小杉がいる。女の子二人が並んで 小杉の左横だ。そして、吉永の左側の、少し離れた所に違う二人の女の子がくっついて立っている。             リナが吉永の前に、少し離れて立った。  「あの、吉永さん、何か?」       リナが恐る恐る聞いた。吉永の顔が物凄く 険しくなっていたから。何か異様な雰囲気だ。いつもの大人しい、優しい感じでは無い。さっきの呼び止め方もそうだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る