第16話

吉永の子供を産めば、自分は一生彼に守ってもらえる。嫌な水商売から完全に抜けられる。そして自分との血が繋がった人間ができる。自分の母親が将来亡くなっても、独りぼっちではない。今この話を蹴れば、もう二度とこんな事はないだろう。        「良いよ、吉永さん。私、子供を産んでも。」                 「本当?!」              「うん、本当。」            「うわぁ、リナちゃん。ありがとう!!」 吉永がリナの両手を取った。顔が嬉しさでほころんでいる。             「じゃあ、早速リナちゃんのお母さんに挨拶しなきゃね。」             「挨拶?そんな事、良いよー。」        「駄目だよ、ちゃんとにお会いしてこの話をして、お願いして、承諾を得なきゃあ。」 「でも、未成年じゃないんだから。承諾なんて、私が良いって言ってるんだよ。」     「駄目、リナちゃん。ちゃんとにお母さんにお会いしてしっかりとお願いして、そして僕の事も色々と話して、安心して頂かないと。」                 「そんな事しなくたって良いのに〜。」  「とにかくリナちゃんは、僕の事をまず話してくれる?」             「う、うん、分かった。」

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