第17話
そんな事言える訳ないよ!そんな事言えばどんなに凄い騒ぎになるか…。うちの親は半気違いだよ。どんなに小さな事や、どうでも良い様な事でも、自分が気になったりすればとことん掘り下げて大騒ぎするし、黒白着けないといられない性格。自分はその母と、その母の母で、祖母との三人暮し。女三代で、産まれて来た時からそうして暮して来た。そして祖母は母よりももっとこうした性格で、自分はこの家族の、いつも只の操り人形だった。 だけど、母だってこの話を聞けば喜ぶんじゃないのか?これは自分に取っては素晴らしい話の筈だ。だって、自分なんて絶対に普通に結婚なんてできないもの。この日本では絶対に無理。今迄普通に日本人の青年に付き合って欲しいだなんて一度も言われた事なんて無いんだから。皆、むしろ嫌がって避けるだけだし。モテると言うなら、夜の世界で、一部のお客さんにモテるだけ。そう、吉永さんが気に入ってくれている様に。後は、あり得ないから。だって自分のこの顔じゃあ無理。別に変な顔ではないけど、誰が見ても絶対に只の外国人にしか見えないんだから。そこまで凹凸のある顔では無いけど、色は白いし目の色も黒く無い。茶色くも無い。父親がそんな色だった様だが、藻か何かの様な緑がかった薄い色だ。そしてその中に、小さく、又違う色だ。今度のは薄い、黄色がかった茶色。そしてその中に黒目。こうして三段階になっている。だから小さな時はよくあいのこと、知らない子供に言われたりした。まだ小さくて、ペチャっとした顔をしていたから。だが写真だと、目鼻立ちがハッキリした日本人の子供に見えた。特に白黒だと。カラーでも目が茶色っぽく、普通は写った。よほどアップででもなければ。 だが、今は鼻も結構高いし、多少凹凸のある顔だ。そして、日本人とは違う目の色…。だから誰も自分と恋人になりたいなんて男は普通いない。せいぜい、何度か関係を持ちたいと思う男達位だ。この事は、断言できる。だから、ぼやぼやしていたらもうどんどんと年を取ってしまい、それこそ子供を産むだなんて事もできなくなってしまうだろう…。 なら、やはり早く母に話した方が良いのだろうな?最初は多分、物凄く驚くだろうし、きっと嫌がるだろう。何しろ母自身が未婚で自分を産んでいるのだから。父親が、アメリカ国内で既に結婚していたが、それを日本では、誰も廻りの人間は知らなかったらしい。特に隠していた訳でも無いらしいが、結局はそうした事だったらしい。そして、結局巧くいっておらず、とっくに別居を何年もずっとしていたらしいのだ。 そうした事から、自分は両親が結婚をして生まれたて訳ではない。両親は一緒に暮らした事も無いだろう。そして父親は、自分が産まれる少し前に、韓国に転勤になってしまった。そして当時は、日本人は簡単には韓国ヘ行き来ができなかった。そうこう色々な事情で、リナは父親を知らないし、リナの母親も女一人で自分自身、自分の娘、そして自分の母親を養っていた。
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