第12話

「リナちゃん、こっちに来て座って?」  吉永は又ベンチに腰掛けると、リナにも座る様に促した。リナが横に座る。      「ねー、リナちゃん。彼氏はいるの?」                「彼氏?いないよ。」           何を急に言い出すんだろう。       「本当?」               「本当だよ。」             「本当に彼氏、いないの?」       「うん、いない。」           「嘘でしょ?本当はいるんでしょ。」   「いないよ。」             「本当に?」              「本当。」               「じゃ、どうして?」          「どうしてって?!そんなの、分からないよ〜。」                「だって、何か理由あるでしょ?」    「困ったなぁ。」            「だって、リナちゃんならいるでしょう?」「だから、いないってば!」      段々と腹がたってきた。         「じゃ、何でいないの?」         「何でって…。」            「何か理由あるでしょ?」        「だから〜、前にアメリカ人と付き合った事あるけど、今はいないの。」       「だから、何で?」           「え~っ。」              「日本人は駄目なの?」         「駄目って事ないけど…。」       「じゃ、何故?何故いないの?」     「じゃあ…言うけど。」         「うん、何?」             吉永の目が輝いた。身を乗り出す様に聞いている。                 「ほら、私ハーフだから。」       「うん。」               「だから小さな時に、よく全然知らない男の子達に、道なんかでからかわれたりとか虐められたりしたの。」           「うん…。」                吉永の顔が曇った。          「だ、だから〜。だから多分今でもそういうのの影響で、なんとなく駄目なのかも…。」吉永は拍子抜けした。な、何だ?そんな事か?!確かに可哀想だったが、そんな事が理由?                 「ハイ、もうこれでいい?吉永さんが変な事しつこく聞くから!言いたくない事まで言わなきゃならなくなっちゃった!!」    リナはそう言って、少しふてくされた。そして弁解する様に付け加えた。       「大体、富貴恵ちゃんだって、彼氏いないよ!」                 「そりゃ、冨貴恵ちゃんはいないの分かるけど。」                  「どうして?どうして冨貴恵ちゃんなら分かるの?」                吉永は困った顔をした。         「冨貴恵ちゃん、今は凄く太ってるけど、昔はもっと痩せてたんだって!だったら、顔だって別に変じゃないし。今だって、中身は面白いし、頭良いんだから。いても別におかしくないと思う。なのに、いないんだよ。だったら、何も私だけじゃないもの、彼氏いないの。」                 「リナちゃん、冨貴恵ちゃんの事だけど。」                                                                                           

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