第9話

タクシー乗り場でやっと吉永はリナを降ろした。そして直ぐに来たタクシーに乗り込み、自宅まで送った。自宅前で降りる。もう普通に歩ける。なので吉永はそのままタクシーに乗って駅まで行った。          なんか悪かったな、そんな事を思いながらも直ぐに家に入ると寝てしまった。まだ時間はそんなに遅くはなかったが。でも、なんか疲れた。本当にあの最後に食べたおでんで、苦しい思いをしたから!          そして又冨貴恵と会うと、この間はごめんね、と謝られた。仕方ないな、とにかく冨貴恵ちゃんは太っているんだから。だから食べ物には執着しちゃうんだよね。そんな風に思いながら一緒に食事をしていると、冨貴恵は吉永の事を色々と褒めた。どうやら気に入ったらしい。               「だけど吉永さんって本当にしっかりしてるよね?だって絶対にもう駄目だって言って、クレープをもう一個食べらしてくれなかったんだもの!やっぱり警察の人だよねー!ちゃんとに心配してくれてさ。もし何かあったらどうするんだ、なんて言って!」     冨貴恵は嬉しそうに何度も同じ事を言った。「今度はいつ来るの、吉永さん?」    そう何度も聞いた。           「又近々来るって言ってた。」      「そう?又呼んでよ。」         「うん、そうだね。」           だがもう冨貴恵を連れて行くのはよそう、そう思った。あんな事をするなんて!クレープをしつこくせがんだり、それにおでんだってあんなに食べて、自分にももっと食べろ、とうるさく言ったり。あれで自分はあんなに苦しい思いをしたんだから…。       それから少しして、又三人で店にやって来た。リナは嬉しそうに横に着いた。そして手を握る。この間のタクシーの中ではずっと手を握っていてくれた。とても気遣いながら。なので今日も自然に手を握ると、吉永も嬉しそうだった。

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