第8話 出発
カタクリはその夜を静かに寝て過ごした。たくさんの感情が渦巻いていたがそれを沈めて寝て過ごした。
昼になると扉を叩く音が聴こえた。
「カタクリ、俺だ、ロンだ遅くなった。」
カタクリはロンの到着に嬉しさを感じた。けれど、自分はこれから東の方へ旅を始めなければならないことをロンに伝えた。
「タカム村…はて、どこだろうか?聞いたことないな。」
ロンはカタクリの力になれないことを残念に思ったがひとつ素晴らしい提案をした。
「カタクリ、もし、君がよければ僕と一緒にその村まで旅を同行させてくれないかな?僕は旅をして来た人間だし、何か役に立てると思うのだけど。」
カタクリはその提案をとても嬉しく思った、そしてその名案に同意した。カタクリは身支度を済ませるともう鍵のかかっていない扉から外へ出た。
緑の葉っぱに反射する太陽にたちまち目が眩んだ。
「外はこんなに眩しかったかしら。」
しばらく目を塞いでいたが少しずつ明るさに目が慣れてきて、覆っていた手を外した。
「…もしかして、君は。」
ロンはカタクリの顔を見ると驚いたように後ずさりをした。
「どうしたのよロン、変な人ね。」
彼女はクスクスと笑っていたが、ロンのポケットから出た写真を見ると驚愕した。
「これ、私?」
写真には今のカタクリをそのまま子供にしたような幼女が写っていた。
「見つけた…ジェシカ ローズ、君は僕の妹だ。やっと、やっと見つけた。」
ロンは涙ぐんでそう言った。
トビラ Lie街 @keionrenmaro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます