第7話 前夜
どれほどの日にちが経っただろうか。あたりはすっかり暗くなった頃、扉をたたく者がいた。カタクリは飛び起きて音のする方へと歩み寄ると聞き覚えのある声が聞こえた。
「カタクリ聞こえるかい?俺だ、デイジーだ」
「わあ!デイジー来てくれたのね」
恋人の到着にカタクリは嬉しくなって軽くその場でジャンプした。
「まあ、落ち着け大事な話があるんだ」
なだめるようにデイジーが言った。
「なに?大事な話って何かしら?」
カタクリは不思議そうに聞き返す。
「君をここから出そうと思う。だが、僕はずっとここには居られない。今から扉を開ける、明日の昼くらいに…」
「なぜ?今すぐに出てはダメなの?」
デイジーの言葉を遮るようにカタクリは言う
「すまない、今はとりあえず時間が無いんだ。」
「デイジーは明日の昼には帰ってくるの?」
「たぶん、無理だと思う。」
「そんな、じゃ…」
「でも!ここから東にずっと進むと、タカム村があるはずだ。そこで、また会おう… それでいいか?」
互いの言葉を遮りあい、そこには焦りを感じざるおえなかった。
「分かった。」
カタクリは静かにうなづいた。
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