夢の中にいた

 作:北見悠平


 時の呪縛から解き放たれたなら

 待っているのはきっと

 ただ繰り返される生命の螺旋


 その世界は初めから満ち足りていて

 何かが欠けていると感ずる心さえ

 なお穏やかに受け止めてくれる


 ただ色とりどりに輝く宇宙の綺羅星が

 かつて犯した罪を数え上げて

 己が心に問いかける

 どうして生きているのかと


 醒めない夢があるのなら

 それはおそらく今此所で

 悪夢と呼ぶには生易しくとも

 何もかもわからないまま続くが定め


 桜を揺らす風の歌

 終わりを告げた人の声

 小さく息を吐いて目を開ける


 そうして散ってゆく花弁を眺めながら

 この現実の確かさを

 踏みしめるために歩こうか

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