よすが

 作:北見悠平


 誰に言われて生きたのか

 何に追われて活きるのか

 言葉になるほどちっぽけだ

 空も風もおまえなどに構いはしない


 悲しみも怒りも喜びも

 長い長い時を経て繰り返され

 目に見えぬ心の力は堆積し

 今ここに在るものに無を突きつける


 詩はすぐそこにあったから

 ただゆっくりと書き留めた


 葉や枝が触れ合い

 ざわざわと揺れるさざめき

 近づき、遠のく

 永久と見紛うばかりの緑たち


 音の渦を通り抜ける中で

 かつて誰かが捧げた祈りを聞いた

 微かに響き合い

 やがて巡り会う軌跡


 どこへも行けない道だとしても

 足跡はただ続いている

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