手紙

 作:北見悠平


 ゆうべの子には会えなかった

 普通にしていればよかったのに

 不健全な目の色を察したのか

 見えない壁に阻まれたみたいだ


 疲れ果てたことにも気付けないまま

 ぼろ屑みたいに擦り切れる始末

 詩の意味なんて考えてみたり

 消えた神様を目で追いかける日々


 壊れた世界の隅っこで

 誰にも宛てない手紙を書いた

 虚ろに響く夜の声

 黒い影がこっちを見ている


 太陽が眩しかったから

 あのとき世界は確かにここに在ったよ

 言葉と言葉が連なり合って

 花火みたいに喧しくて綺麗だった


 いつか聞こえたのは

 何かが終わった音

 今聞こえるのは

 何かがまた始まる音だ


 伸ばした手の先にいる人

 紙に書いた文字を読んでくれる人

 助けを求める誰かってのは

 きっと君自身のことだったんだろう

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