まじない詩

 作:北見悠平


 浮いた場所から抜けていく

 ギミックまみれのざらざらな言葉

 死体みたいに健全な眼差しで

 大人になった君の姿を見ていた


 マッキントッシュを食べたから

 お腹は空いてないけれど

 計算資源には限りがあるので

 差し出されたお土産はポケットに仕舞う


 全部がフィクションになるのなら

 何を現実に持って帰れるだろう

 呪われた詩の欠片を拾い集めてみても

 誰も助からないかもしれないが


 月の裏側に描かれた鳥の絵を

 額縁に入れて飾っておいた夜のこと

 枯れた井戸の底を覗くレンズから

 遠ざかる水の色は綺麗だった


 ふたご坂を上った先には

 古い煉瓦作りの小屋が建っている

 そこに大きな隕鉄でできた鍋があって

 悠久を煮詰めてスープを作ってる


 真理の陰に隠れてたのは

 言葉の世界の外にあり

 誰も望んで触れられぬ

 心という名の宇宙塵

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