アンチリアル

 作:北見悠平


 どうしようもない悲しみとか

 取り返しのつかない間違いだとか

 空気みたいに漂う虚しさを

 全部飲み干してやるって決めたんだ


 その日から僕は嘘になった

 リアリティなんか一つもないし

 不都合主義的な展開だらけのお話で

 救いの書き方を忘れたみたい


 それでも呼吸を止めなかったから

 雨は止まないし朝日は昇らない

 助けてくれるヒーローもいない世界で

 永遠って言葉の意味を教えられた


 恐ろしいばかりの鏡を見ては

 二度と会えない誰かの顔を思い出して

 刺されるような痛みに苦しんだり

 ひんやりした床で寝転んだりするのさ


 夢の中では今日も強い人が戦ってる

 憧れのスタイルで自分を疑わず

 罪も罰も踏んづけて進んでいくから

 僕は背中をただ見送るだけ


 文字が模様へ変わる身も蓋もない現実に

 二束三文の幻想を投げつけようとした

 生き様と呼ぶにはあまりに無様だが

 道の先にある何かを今日も探してる

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