雷霧

 作:北見悠平


 ままならない蛇口の面倒を見る

 調子外れのメロディとかに誘われて

 知らないうちに大きくなってた穴が

 こんなデタラメな歌じゃ塞げない


 複雑怪奇な論理回路をバラしたら

 残ったパーツが詩になるはずだったが

 風と雷と氷がいっぺんに降ってくるから

 上手に拾わないと無になってしまう


 音が音を呼ぶみたいにして

 いつか言葉だらけになった部屋の隅っこ

 膝を抱えて蹲ってるのは

 錆まみれになったあの子の残骸だ


 秒針が世界を切り刻む音で眠れない

 しくしく痛むよって泣き喚く

 病的な妄執がなくならない限り

 時間の問題が解けないので生きている


 心積りが募ってやがてパラノイド

 窓の外には恐ろしく黒い霧

 森に谺する雷鳴に怯えたアンドロイドが

 突拍子もない菜食主義の国を創る


 挨拶の一つもまともにできないなら

 さっさと廃棄処分にしちまえばいいのに

 壊れた楽器を大事に取っておくみたいに

 意味のない音を呟き続けてた

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