風
作:北見悠平
落ちた木の葉が風に転がる
穏やかで優しくて寂しい情景
女の子たちが駆け去って
僕はくしゃみを二つした
どこへも行けぬこの足で
歩く道には影法師
柔らかな日差しに照らされて
赤と緑の鈍いコントラストが揺らぐ
身じろぎするのも億劫だけど
歩調はさして悪くない
色褪せた冬の街並みが
人々を包むように輝いている
イメージも膨らまぬほど素っ気なく
眠気がくるほどには暖かくもない
音もなくゆっくりとそよぐ風が
鮮やかな黄色の旗を揺らす
ウイルスもただ生きている
僅かに傾ぐ身体の内で
白血球に目をつけられて
望みもしないまま戦い殺される
我々がこうして立てる音の
なんとうるさいことだろう
データベースで捜してみても
静けさだけは見つからぬ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます