つまんねえよ

 作:北見悠平


 全部がつまらないと感じるとき

 つまらないのは自分自身だって

 そんなレトリックを信じ込まされて

 黙り込んではつまらない


 配られたカードで勝負するしかないとか

 権利を主張する前に義務を果たせとか

 長いものには巻かれよとか

 ここで止めたらもったいないとか


 誰かに向けて本当のことばかり云って

 自分にはずっと嘘を吐いてるんなら

 やがて流れ星は消え去って

 代わりに詩の雪が降り始める


 枯れない井戸が欲しい

 醒めない夢を見てみたい

 どこにも存在しないはずのものを

 自分の力で創りたい


 これっぽっちの小さな願い

 大それた言葉で飾り立てて

 死んでやらねえぞって喚き立ててやる

 最後の最後まで


 そんなことさえ出来ないんなら

 生きていたってつまんねえよ

 全部がつまらないと感じるのは

 素晴らしいものを本当は知ってるから

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