言の葉流し、いつか永劫のディスクール

雨簑 深月

深葬

 残照久遠の穹窿クオリア・ドーム。それが私たちに残された最後の砦、人類にとってこの地球でただ一つの揺籃の地でした。

 スノードームさながらに幽閉された街並みでは、灰色の空からはアイボリーの雪が頻りに降り注ぎ、混凝土には黒が染み込んで、轍にできた水溜まりが切れ間のない曇天を映しています。

 救いのない陰鬱な午後。日常に潜む仄暗い世界に誰もが閉じ込められていました。その日暮らしの私たちには、バイブルでさえ、ただの紙切れ同然でした。神への信仰を選ぶよりも、焚書の炎を囲んで暖を取る方が些か有意義だと思えるのです。


 朽ちた箱庭の中心に、世界に一つ取り残されたかのように、昏く虚ろに聳えるのは〝聖壁せいへき月塔げっとう〟と呼ばれる万物の記憶の保管室です。吹き抜けの空間に壁に沿って三六〇度、見渡す限りの書架。エントランスホールから天を見上げると、その持て余すほどの高さから、知識には果てが無いのだと実感できるのです。

 しかし、月塔は人々から愛されるには至りませんでした。

 人は皆、ひしひしと迫り来る終末の気配に毒されて、あらゆるものへの興味を失っていきました。この世に生を受けたその瞬間から、好奇心の扉はゆっくりと閉じていきます。人々は日が映すともなく翳るのを幾度となく傍観してきました。だからこそ、誰も無理に抉じ開けようとはしないのです。


 ブレラウィリス博士。色白の肌と宝石のような碧い瞳、憂いを帯びた端整なルックスが印象的です。見た目の年は三十歳くらいでしょうか。

 博士はいつからか聖壁の月塔の管理人を務めるようになりました。それが数年前だろうと数十年も前の大昔の出来事だろうと、それ自体は瑣末なことです。何せ彼のその身体は老いることを知らなかったのです。「寂しい」がスタンダードになって、概念さえ遠ざかってしまうほどの長い間、彼は孤独に塔を守り続けていました。


 月塔は、塔の尖端に大きな丸い月が突き刺さった特徴的な形をしています。その歪さが継ぎ接ぎの歴史を見事に象徴していました。

 天井にはフレスコ画の代わりに、月を模した巨大な球体がクレーター共々露わとなっている塔の最上階で、博士は歴史が紡いだ数多の“言葉”を修繕し、記号やラベルを用いて整頓して大切に保管しています。そうでなければ、煙たい地下の最下層で塵埃に塗れながら“言葉”の化石を掘り当てているのです。

 世界記憶の管理とは、どうやら“言の葉”に始まり“言の葉”に終わるようなのです。


「博士、これもお願い」


 書架とにらめっこをしている博士に、読み終えたばかりの一冊の本を手渡しました。

 毎夜眠りに就くまで、私は本を取っ替え引っ替え、ぬいぐるみみたいに抱きかかえて塔を歩き回っています。棚の一番上の列には手が届かないので、いつも博士にお願いをするのです。


「とても素敵な本だけど……。数多ある本の中のただの一冊なんだって、そう思った方がきっと平和……」


 私は博士の目の前にある何の変哲もない書架の空きを指さして、そこにこの本を収めて欲しいと伝えます。


「……ありがとう」


 博士は私から羊皮紙の厚い本を預かると、棚の空きに押し込めようと一度はそれを持ち上げましたが、躊躇うようにして両手を腰元まで下ろすと、とても深刻そうな顔で本の表紙を見つめるのです。そして何を思ったのか、徐に語るのでした。


「人にはどうしても拠り所が必要でね……。この本は“祈り”の原典なんだ。人間の根底にある飢餓の、その宛所のない悲しみを鎮めるための生贄だったんだ」



 ***



 月塔にはごく稀に来客がやってきます。非凡な物好きが月塔を不思議そうに見上げては、得体の知れない魔力に引き摺り込まれるようにして博士の前に現れるのです。彼が出会った人間は、まだその瞳に鮮やかな色を宿していたといいます。一人がやってきてから次の人がそこを訪れるまでに一番長くて八十年を隔てたのだと博士は教えてくれました。

 そして、私が十三番目の来客として、今ここに迎えられているのです。もっとも、私が初めて月塔を訪れたのはもう四年も前のことですし、それ以来、私は博士と二人きりずっとここで暮らしてきました。だから私が客人だといっても博士にはピンとこないでしょう。


 ある日、博士は言いました。


「僕は四番目の訪問者から、彼らには一つずつ言葉を贈ったんだ」


 それは博士と彼ら一人一人によって共有された秘密です。掘り起こしたばかりの古びた言葉を、博士は惜しむことなく彼らに費やしました。念入りに何度も何度も、その言葉の発音と意味を彼らの白痴に懲りることなく伝えました。そう、それは彼らを象徴する唯一無二の言葉だったのです。


「共有されない言葉はレゾンデートルを見失う。せっかく埃を払ってやったのにそれじゃ悲しすぎるから」


 博士はそれまで言葉を独占することに甘んじていました。それまでは言葉の存在が泡にならないようにと、必死に彼の頭の片隅に留めておくので精一杯でした。そして、昔は言語学の論文をよく書いたものだと懐かしそうに、涙も枯れ果て語るのです。


「論文って?」


 私はわざと無知蒙昧を見せびらかします。それでもいいような気がするのです。


「後世に引き継いでもらうための“言葉”だよ」


 それは言の葉がまだ青く生き生きとして、いっぱいに陽を浴びていた頃の話です。けれども、私には言の葉を見ることも、それに肌をぎゅっと押し当てて触れることも叶いません。


 人は孤独になると、どうしても窮屈な考え方に囚われて、それに拘ってしまうようにできているようなのです。博士は四人目までそれに気づかなかったという訳です。昔出来ていたことをすっかりと忘れてしまったようだ、アムネシアと同じなんだと彼は私の隣で嘆きました。


 さて、博士から言葉を貰った人々はその後どうなったのでしょうか。

 私は博士に問いかけます。知らない方が幸せとか、そんなまじないは専らごめんでした。博士も私の貪欲を咎めることはしません。


 曰く、結論は一つ、結末は三つ、それが全てということです。


 ある時、古びた眼鏡を傾けた少し白髪の生えた中年の男が博士に会いにやってきました。男は初めこそ言葉を理解できなかったものの、博士の熱心な指導に応えるべく、塔の内部に幾重にも蓄積された書籍の数々から文字を覚えたといいます。

 そんな彼の姿はとても謹厳実直であったので、博士はそのままその言葉を贈りました。勘違いしてはいけないのは、謹厳実直という四字熟語があって彼が在るのではなく、彼や彼のような人間がいて、その後に謹厳実直が言葉として生まれたということです。だから博士は言葉を元の場所へ返してあげた、そんな気分でいたと言います。


 しかし、それからしばらくして、彼は再び博士の元に現れるとこう言いました。


「この言葉は僕のような人間には釣り合いそうもありません。僕はあくまで、いついかなる時も、たとえ本質が変わり果てようとも、僕でいたいのです」


 だから、この言葉はお返しします、と。

 それが結末の一つ。言葉を還す者たち。


 二つ目は、言葉に呑まれる者たち。

 ある時、博士は深刻な表情で月塔を訪ねた女に伝えました。


「いいかい、君はnervousナーバスなんだ。この言葉を贈るという僕のささやかな皮肉を受け取ってはくれないだろうか」


 博士は愛を込めて、その言葉を贈りました。

 美しい栗毛の長い髪がどうにも暗鬱に映えるのは彼女の性格の所為のようでした。世を生き抜くためには彼女はあまりに神経質すぎるので、是非克服してもらおうと願ったのです。見せかけでもいいから物事に寛容になるよう努めることを期待したのです。

 しかし、このご時世にニュアンスとやらを他人に届けるのはとても大変なことなのだと強く思い知ることになりました。

 彼女はプレゼントをプレゼントとして認識し、象徴を象徴として捉えたのです。皮肉なことに彼女はより一層ナーバスでいることに固執したのです。だって博士は彼女だけの象徴としてその言葉を授けたのですから。


 結末の三つ目は、言葉を棄てる者たち。

 博士はその日、出会った男にいつものように言葉を贈りました。

 それから二年後、男は屍者さながらの朽ちたその身体をゆらゆらと揺らして、本能の赴くままに博士に会いにやってきました。その双眸はひどくくすんでしまっていましたが、蒼き眼の奥底に僅かにあの日の面影を残していました。

 さて男と会話するうちに博士は妙な既視感に襲われたのです。巻き戻されたビデオテープのように、驚きも感心も全て二年前と同じように返ってくるのです。男は未だ確かにその背にあの言葉の残像を宿していましたが、彼はもう博士と言葉と秘密を共有した特別な関係では無くなっていました。

 それで博士は知ったのです。言葉は繰り返し刷り込むようにして使ってやらないと消えてしまうのだと。こうして時代や個人の思想にそぐわなかった廃りの言葉は歴史から姿を消していったのです。それは正常な物忘れと同じ原理です。その男は無意識のうちに言葉を棄てていたのです。


 そして導かれた結論は、博士をひどく失望させるものとなりました。でもその前に、私は彼のこの結論を昇華させるために、そんな運命さだめを背負ってここに居るような気がするのです。だからこそ、私は十三番目。そんな想いを沸々と、博士には内緒で滾らせているのです。だから、全ての答え合わせは最後にしたいんです。



 ***



 その日、博士は塔の最上階をはしごで突き抜けて、大きな月の中に潜っていきました。丸い月の正体は天文台です。何億光年の星の煌めきも雲に遮られて、もうじき逃げ場のない夜がやってきます。


「ねぇ、次のお客さんが来たら上手くやれると思う?」


 私は大きな屈折望遠鏡をガタガタと音を立てて弄る博士を下から見上げて、大声で尋ねます。

 月塔の頂上に突き刺さるようにして、地に墜ちた丸い月は今日も星の光を束ねています。蒼い惑星ほし水面みなもの鏡に浮かぶもう一つのお月様、それならば私は御伽噺のお姫様です。


「……どうだろうね。君は手伝ってくれるのかい?」

「無理、だと思う……」

「どうして?」

「“言葉”はもう要らないから。博士だってほら、“言葉”は二度と文明には根付かないだろうって」


 機械仕掛けがジリジリと低く唸る音。それが広い球体の空間に反響して私の言葉を遮るのです。音源に一番近いのは博士でしたが、それでも彼が気に留めることはありません。何せの観測に夢中なのです。星々の点と点を線で結んでいくように、私との間に言葉を紡いでいきます。


「いつからか言葉は呪縛に変わってしまったんだ。人が溢れた時代には、個性なんか轢き殺しては均し、その癖に“個”を特定しようと躍起になっていた。すると人間は、存在が唯一無二になるまで単語と数字を並べ始めた。個性がないことを、代わりに言葉が生み出す属性で補っていた」

「でも、そんな悲しい時代も戦禍と死の灰が攫っていった。言葉を遺せばそれが今度は鎖ではなく、もう一度文明の糧になるって博士は信じてた」

「うん、でもどうしてかな……。言葉の種は君を除いては芽吹かないんだ。ここには枯れた土壌だけが残っている」


 博士はこれまでよりも弱気な声で答えました。私を見つめていた碧い瞳は、望遠鏡のレンズに囚われて、夜空の色を鮮やかな虹彩にゆっくりとかき混ぜていきます。


「……ねぇ、博士?」

「なんだい?」

「遠回り、してもいい?」

「もちろんとも。時間ならたっぷりあるからね」


 実のところ澄んだ夜空の光る星など、もう何十年も何百年も観測できてはいないのでしょう。もしそれを見たいのなら、本の世界に引き篭もったほうが手っ取り早く、随分とでした。


「ここは僕にとってもそういう場所なんだ。遠回り、そう遠回り……」


 何もない空を食い入るように見つめる博士の声がデクレッシェンドを忠実に表現しては虚空に消え入るように溶けていきます。


「私ね、“悲しい”って言葉を知ったとき、それを理解できなくて、そこで初めて“悲しい”と思ったの。覚えてなんかいないだろうけど、博士もきっとそう……」

「……僕には、理解できないな」

「それは、どうして?」

「言葉は言い表すための道具なんだ。勘違いしてはいけない、と前も言ったはずだよ。対象があって、現象があってそこで初めて“言葉”が生まれる。人は無から有を生み出せない。仮想現実のシミュレーターなら話は別だろうけどね」


 丸い月の球の中心から、博士の動作に呼応してガチガチとけたたましい金属音が鳴り響いています。しかし不思議と、彼の声は滲む感情の気配と共に何に遮られるでもなく伝わってくるのでした。


「それなら人を模倣したアンドロイドは? ……レプリカントならどう?」

「模倣がオリジナルを越えることはないさ」

「でも、彼らは言葉の歴史の延長線上にいる存在。それに新人類だって……」


 いよいよ博士の顔は巨大な観測機器の奥底に隠れてしまったというのに、それでも懲りずにただ見上げるばかりの私は、愚かなまでに祈りを捧げているのです。


「君との遠回りは、いつになっても飽きが来ないけど、気が遠くなるほど終わりが見えないな。新人類、といったかい? ホモ・サピエンスで人類史は途切れてしまったよ、残念だけどね」


 ささやかな皮肉を、困り果てた笑みに乗せて博士は語ります。私には彼の顔などこれっぽっちも、垣間見る隙もなくて。それでも何を見てどんな事を考えて、どんな風に笑ったか、考えてみるのです。


「月塔は博士にだって全知を授けることはできないの」

「君は……僕が間違っている、というのかい?」


 ついに博士は望遠鏡からゆっくりと背を反らして、大きく見開いた眼で私を捉えました。彼が首をこちらに捻る瞬間にギギギと軋む音が鳴ります。


「最後の戦争が終わってから今日この日までの歴史を、言葉で補完できないのはどうしてだと思う?」

「人口が激減して、知識は灰に埋もれてしまった。歴史を綴る者もいなければ、書き記すための“言葉”ごと文明を焼失してしまったんだ」

「……もし、記録する媒体が“言葉”に依らないものになったとしたら?」


 少しだけ頑固な博士ですが、反論を押し込めるでもなく、まずは全てに耳を傾けます。その様子は何かを察したようでもありました。


「ねぇ、博士? 私、本を見つけたの。これ、白紙の本。雪よりきれいだよ、ほら」


 抱きかかえていた本の、見開きを博士に突き出して、メルヒェンに染まった乙女心を私は悪戯にちらつかせているだけ……。


「それは本とは言わないよ、ただの紙。焦らしてくれるな」

「うん。だってまだ迷っているの、博士のこと」

「君が躊躇するなんて、珍しいこともあるんだね。いいさ、紳士として待つよ」

「博士、できるだけ早く降りてきてね。私、……待ってるから」


 私の意地悪な言葉に対して、博士はわざとらしくカチカチと頭を掻いて答えます。


「女心を掴むのは僕の専門外なんだけどな」


 白紙の本にはこう書かれていました。

『国の境は言葉にて。雄弁は等しきを生まず、静寂のみが平穏を生む』


 月塔の内側に幾重にも張り巡らされた書架の層、そこは本が支配する空間です。天文台のすぐ下、塔の尖った先の部分で私は博士を待ちます。

 最後は、面と向き合って。お別れのキスでもハグでも何だっていいんです。それが多分、招かれざる十三番目の役割なのでしょう。



 ***



 世界が死の灰に覆われてしまったその年の初め、図らずも人類には進化の兆しが現れました。のちに〝symphonyシンフォニー〟と呼ばれる私たち、言語を持たない人類の発生です。テレパシー能力が発達した人類は調和の旋律によって満たされ、戦争はその年を以て最後を迎えました。言語学者達はそんな未来とは知らず、次の世代に委ねるために“言葉”の文化を大急ぎで記録し、地下に保管したのです。まさか衰退によって言葉を失うのではなく、進化によって言葉を捨てることになるなんて誰も予想できなかったでしょう。


 ブレラウィリス博士。言語学者だった彼は、複数体のアンドロイドの助手らと共に編纂作業を行っていました。彼は志半ばで力尽きてしまいましたが、その崇高な意志は無事に後世に引き継がれました。

 後のことは簡単です。人の記憶と容姿を備えている、ならば自分は“人間”なんだと誰もがそう理解するでしょう。“人間”の性質にそぐわない部分があるならば、人並みに思い出を美化し、人並みに信じたいものだけを見ればいいのです。


「僕は不幸なことに、新薬の被験体に選ばれてしまったんだ。それからはもう、自然に老いて穏やかな死を迎えることなんて到底叶わない身体さ」


 いつの日か、幼い私の問いかけに、博士はさぞ当たり前のことのようにそう呟いたのをよく覚えています。


「それじゃあ、博士は死なないの?」

「少なくとも老衰で死ぬことはないだろうね」

「じゃあ、最後は博士一人きりになっちゃうんだね」

「……そうだね」


 それは月塔に木製の椅子が一つだけあった頃のお話です。博士が椅子に腰掛けると、いつもその上に小さな私が乗って、足を浮かせてバタバタと遊ばせているのです。月塔が私の居候先として定着したことで、後から博士が自作で、お揃いの椅子を私の為に拵えてくれたのでした。北欧の伝統的なデザインなのだと、偶々手に取った本から学びました。


「寂しくない?」


 近くの本棚をぼんやりと見つめていた顔を僅かに振り向かせて、博士に尋ねます。


「寂しいさ、もちろん。……でも、僕は臆病だから、今もこうして空から死が降ってくるのを待ち侘びているんだ。自分を殺める勇気なんてないし、折角貰った人生なんだ。結末なんて要らないけど、それでも全うしたいのさ」


 私は彼に出会った時、静寂のうちに成されるはずの意思疎通が叶わなかったからこそ彼に興味を持ちました。「知恵のある人ホモ・サピエンス」と呼ばれた旧人類が相手だろうと、双方向の意思のやり取りはできずとも彼らの思考を読み取ることはできます。しかし、言葉を持たず、文明の知恵を失った私たちにとって、機械仕掛けの人形という概念は皆無に等しかったのです。


 四年の時を経て、私は聖壁の月塔の外に出ます。トン、トンとまた一つ。覚束ない足取りで階段を降りる不規則な足音。丸い月の装置は稼働を続けているというのに、今や見上げる天からは零れ落ちる音の一つもありません。血飛沫のような黒い油にお気に入りの服を汚して、その手には小さな四角いチップを握りしめて。繋ぐ言葉さえあるならば、私は黒歴史に残る偉大な悪女です。

 塔の出口を抜けると、凍える吹雪にアイボリーに染まらない真っ黒な髪を靡かせて、両の手を静かに震わせて、ゆっくりと、また水の流れるままに歩いていくのです。


 黎明の仄暗さが、私をきっと掻き消してくれるのでしょう。








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