六話 決意の先に
その決意は、正直にまだ好きな人が変わっていないのか、自分で聴きに行く。ということだった。確かに簡単で、みんなからしたらどうってことないのかもしれない。でも、ものすごい勇気が必要なことだった。それだけは分かってほしい。もしも、
「もう変わってるよ」
とか言われたら、精神的に終わる。そうなるのは、いやだったけど今の状態で、泣いたり、広海に迷惑をかけたくない。そんな思いから、勇気を振り絞った。
「ねぇ。美香?」
声は震えていたが、確かにハッキリ言っていた。だけど、なんの反応もされなく、無視をされてしまった。そしていつもは何の変哲もない場所が一瞬来たことがないような空間に包まれ、焦った。
「え?どういうこと?――」
いっきに鳥肌が立った。もう鳥になりそうだった。一気に足元からブワッ!と何かがこみあげてくるような感覚。広海や、春奈にも相談できず、その日は泣くのだけを我慢し続け、家に帰った。ベットで泣いた。びしょびしょになるまで泣いた。
「あーあ 最悪だ。」
気づいていたら朝だった。けれど、なんか体が重い。リビングへ行くと、母がこういった。
「あんた なんでそんな顔が赤いの!?熱はかってみて!」
まさか、昨日のショックのせいなのか、ただの風邪なのか、わからないけど、とりあえず、体温を計ってみた。体温は、39度だった。僕は平熱が高いので、熱が出るとこんなもんだ。すると母が言った。
「はい!熱、学校休みぃ!」
何故か知らないけど、テンションが高かった。
「まぁいいや――。ちょっと待てよ、確か、連絡カードとかあったよな。」
通っていた学校には連絡カードと言うものがあり、明日の学校の持ち物などをクラスの誰かが書いてくれて、僕の家まで届けてくれるシステムがあった。
そのカードには、「みんなから」という欄があり、そこに、休んだ人の仲が良い人たちがお大事にとか、励ましの言葉を書く。そんな感じで、メッセージを書くところがあった。
「そこに、美香、なんか書いてくれないかなぁ。」
無視されたのが、意識的なのか、ただ聞こえなかっただけなのか・・・
それで分かる気がした。
僕はベットに再び入り、連絡カードをずっと待っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます