三話 スポットライト

その学芸会は、5場面に分かれる劇だった。

僕の出る場面は、3場面であった。美香が出る場面は、1場面で一緒じゃなくて少し残念だったけど、広海が3場面だったので少しうれしかった。その日は、どうでもいいと思っていたけども、和樹も1場面であった。


 次の日。先生がこういった。


「スポットライト係を決めてなかった。1場面の人でスポットライト係4人募集す るけどやりたい人いるー?」


僕は3場面の人だったので、スポットライトの係はできない。

手を挙げたのは、女子3人と男子1人であった。スポットライトは二つあるので、二人ペアになって、一つのスポットライトを動かす。と言う仕組みだった。


「じゃあ 4人で二人ペアに分けて―」


先生がこういった。まぁ当たり前だとは思うが、男女のペアは確実にできる。手を挙げた女子三人の中で、明らかに仲が良い二人組がいた。その二人組は、仲が良すぎて、無理やり、自分たちで勝手にペアを決めた。そして決まったペアは


仲が良すぎる人たちのペア と 美香、和樹のペア


であった。その時僕は一瞬ドキっどした。すると横から、広海が声をかけてきた。


「やばくね。和樹は美香のこと好きだから、仲良くなったら取られるかもしれん  ぞ。」


その時僕は、今まで油断していたことを後悔し、改めて今までの考え方を考え直した。そして僕は、春奈にも聞いてみた。


「大丈夫だよね。さすがに取られるとかないよね。」


そう春奈に言ってみた。しかし春奈は焦った顔をしてこういった。


「大丈夫なんじゃない?(汗」


あきらかに反応がおかしい。だからとっさにこう言ってしまった。


「美香の好きな人。さすがに変わってないよね!?」


すると、春奈は何かを決意したように立ち上がって僕にこう言った。


「正直なことをいうと、わからない。最近好きな人変わった?とか今のまま?とか聞 いても、全然反応しなくって無言のままなんだ。」


僕は、バスの時と同じように、また心臓がバクバクし始めた。本当かどうか何度も春奈に聞いたけれど、何度も春奈は首を縦に振っている。

マジかよ。僕は一気に恋愛の難しさと、女子の心の変わり方のコントロールがどれほど難しいか感じた。すると、広海からまた声がかかった。


「大丈夫だって、気にするな。」


何の根拠のない言葉だったけど、僕は少し自信を持てた。大丈夫。きっと。

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