第7話(7)死霊ダンジョン
エポナと呼ばれた、目の前にいる 小さな存在は、男を完全に無視して話を続ける。
エポナを初めとするフェンリの従者は、現在の4本足で 80センチメートル、2足で立ち上がれば 1・5メートル程になる
「死霊となる材料は豊富にありました。素材は 屋内だけで、少なくとも3百体です」
「屋内だけ、と言う事は 屋外にもあるのか」
「建物の裏に埋められた形跡があり、只今 確認中です」
「死霊の種類は」
「ゾンビ、
「で、俺に どうしろと」
「ダンジョン
それと、飼ってみたい。と小妖精達が申し出ています」
「何とも酔狂だな、まぁ良い。だが、ゾンビは臭いから止めるように伝えてくれ。他のも ちゃんと洗浄しておくように、ともな」
呆然としている男に フェンリが声を掛けた。
「聞いての通り、ちょっと用事が出来た。このエルフは、直ぐには対処出来ないようなので 俺が預かっておく。
お前は この先に川があるから、そこで身体を洗って来い。汗と血の匂いが酷いぞ」
意味の分からない単語が並んでいる会話だった。男は 彼等の話しを聞いてはいたが 理解は出来ない。何やら 急ぎの用があるらしい。
エポナによって、彼には認識阻害の魔法が掛けられている。まともな思考は出来ないのだ。
男は自分の装備(服装)を確認した。
「……え。あぁ、分かった」
確かに深夜からの戦闘で汗をかき、返り血も あちこちに付着している。この現状は良くないと了解して、魔法使いの言葉に従った。
■■■
フェンリは、多分 宗教的な儀式でも行うためのモノなのだろう、やたらに背の高い、それに相まって 妙な圧迫感を与えるよに造られた、その建物を見上げた。
「この建物がダンジョンなのか」
「はい。従者達により もう攻略済みです。
全ての窓を開けて太陽光を入れ、空気の入れ替えも行っていますので、早急に核を回収して下さい」
「分かった。で、それは どこにある」
「最上階、屋根裏部屋です。掃除も済んでいますので問題ありません、が」
「が?」
「スライムが大量発生していますんので ご注意下さい」
フェンリは首を傾げた。
人間を原料にする
骸骨霊の場合には、ゾンビの数十倍の時間を要するが、これも消化出来なくはない――物理的な破壊の方が多い。
つまり共存は出来ないのだ。
尚、スライムは基本的に屍食性なので、ちょっかいを出さない限りだが、生きているモノは安全である。
「なぜスライムが一緒にいるんだ」
「不活性状態のスライムが大量にあったようで、今も ありますが、その一部が、大きな魔力で活性化したようです」
「……それって」
フェンリは まだ返していない、もう返却出来ないだろう、寛衣の 収納ポケットの中にある太刀を思い出す。
「この魔剣のせいだろうな」
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