唯一の家族を失った少年、ミステリアスな少女。神を騙る巨大な力の化身に、同じく機械仕掛けの神の力で復讐の戦いへと挑む———。
某有名セカイ系アニメを彷彿とさせるテイストに、文芸作かと思わせる丁寧な描写、過剰な誇張がない人物造形、行動原理に説得力がある主人公、そして文字通り存在そのものが謎めいたヒロイン。
巨大ロボ小説でありながらも、しっかり張られた伏線による謎解き、そしてどんでん返しと、広げた風呂敷は確実に畳まれて物語は幕を降ろします。
あまり褒め過ぎるのも何なので欠点も書くと、ロボ物では必ずお目見えする「ある事」に関する記述が無かったりなど、設定的に所々甘さを感じる部分も無くはありませんが、それでもこの作品の魅力を損なうものではありません。
極端なラブコメ、ハードなアイデアの物語も良いですが、コツコツとドラマを積み上げた王道巨大ロボもまた、良いものだと思います。