十年先の庭で待ってる
あともう少し早ければ
私たちが作った薬は、かつては死を待つしかないといわれていた病からこれまで何人もの命、特に子どもたちの命を救ってきた。そのたびに何度も何度も頭を下げられ、お礼状なんてものが届いた日もあった。でも、どんな日にも思うことがある。
薬を渡してあげられなかったこと、それでもいいと彼は心から思っただろうか。
私の背中を押してくれた人は、私をここまで連れてきた人は、もう救えない。
あともう少し早ければ、薬を届けることができたかもしれないのに。
私は休む間もなく次の新薬の開発に取り掛かっている。1日でも早く薬を届けるために。
私たちは未来の患者しか救えないのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます