13 結婚前の憂鬱
日差しの強さに反し、吹く風は涼しく木々の匂いが気持ち良い。
広葉樹の葉の作る木陰は、まるで青の国のお気に入りの昼寝の場所を思い出して悲しくなった。
そんな中を馬がぱかぱか歩く。
ぱかぱかぱか
馬が歩く・・・そして、それに乗っている私は、お尻が痛い。
そして、後ろで私の首をくんくんしてくる長児王子は、とてもとてもウザイ。
サルというよりも犬かな。犬かな。
大型の馬鹿犬だ。
く、くびまで舐められた!!!いやああああああ!!
・・・この犬畜生!
「やめてもらえます?」
「なんか王女さんご機嫌ななめだなあ」
私の抗議に口を尖らせる王子。
「匂いをかがれ、なめられて、喜ぶ人はいないわよ!」
「えー!女は喜ぶってきいたぞ!それに夫婦になるんだから、これくらい普通だろ!」
隙あらば、触ってこようとする王子を振り払いたいけれど、さっき振り払おうとして馬から落っこちてしまいそうになったので我慢する。
馬に乗ってみたいと言ったのは私。
馬には一人では乗れない。それを助けてくれているのは長児王子だ。
それについてはありがとう!と笑顔をふりまくのもやぶさかではない。
だけど・・・
「なんか、どさくさに紛れて手が胸にあたってるんですけど!」
「顔真っ赤にして可愛い!可愛い!」
手綱を持つ手を、私の胸のところに持ってきたのはわざとよね!?
わざとよね!?
「私、馬車で行くっ!」
「ええ!?なんで」
「なんでと思うなら、この手をやめて!匂いもかがないで!」
「うわっ!
思ったより純情だし、可愛いしで、俺は!俺は!嬉しい!!」
「私は嬉しくなーーーい」
王子は全く反省する気配がない。
王子を諫めるはずの夏要は魚大夫と馬車に乗ってるし、他の奴らは生暖かい目で見てるし。物欲しそうに見てるヤツもいるし!
「胸デカっ!
王子が飽きたら、俺らにもまわしてくれねーかな」
そこ、聞こえているんですけど!!
まわすって聞こえた!まわすって聞こえた!
蛮族!蛮族の集まりだわ!
月羊が来たら・・・絶対、ヒス起こしてるわね。
間違いない。
「みせもんじゃねーぞ!!俺のだからな!」
王子が怒鳴ると大人しくなったけど、それも一瞬でひゅーひゅーと
(ダメだ、こいつら、何とかしないと)
青の国に戻る前に、どうにかされてしまう!!
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