第20話 おもちゃの指輪

 毎年やる輪投げの屋台の前で、かっちゃんがうきうきしている。

 そして、かっちゃんは気合いの入った声を上げる。


「今年はぜったいにゆいになんかとってやるぞ〜」


 横のかっちゃんが近くて恥ずかしくて。


 「いいよ〜。だっていつもね、あんまり可愛いのがない……から?」


 ――あっ!


「かっちゃん。私。あれがいい」


 私がそっと輪投げの景品を指差すとかっちゃんが笑った。


「あれなら余裕でとれそう」


 ニコォッと私に笑顔を見せてから、かっちゃんが真剣な顔になった。

 えっ?

 えっ?

 かっちゃんは可愛いのに、かっちゃんが格好いい。


 かっちゃんが真剣な顔で、私の指差したおもちゃの指輪を、じいっと輪投げの輪っかで狙っている。



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