ヤンハブコンビの初めて 3

それから少し時間が経った頃。


「そんな事が……」


騒ぎの原因となったハブがいなくなり、野次馬と化していた人々も散り散りになっていったじゃんぐるエリアにたまたま訪れていたヤンバルクイナは、両脇にミナミコアリクイとオセロットを抱えるオオアリクイから事の経緯を聞いていた。


「それ、私も悪いかもですねぇ」

「どういう事だ?」

「実は昨日……」


心当たりがあるヤンバルクイナは少しバツが悪そうに苦笑いを浮かべ、昨日の一連の流れを語る。

フレンズ同士の恋愛を主題にした映画を見ていたこと、それをネタにハブをからかった事、そしてその時の一件が先刻のハブの暴走ハムハムに繋がったのではないかということ。


それを聞いたオオアリクイも何とも言えない複雑な表情を浮かべ、気まずそうに視線を下にずらす。

アリクイの王の異名を持つ彼女もフレンズ同士の恋愛、いわば同性愛に関しては触れた事すらない問題だったようで、どう返答すべきかと言葉に詰まり始める。


「……ま、まあ……そういったデリケートな問題にあまり首を突っ込むべきではないと思うが……」

「とにかく、あの子だけを責めないであげて下さい。また今度改めてお詫びさせてもらいますね」


そんな彼女を気遣ってか、ヤンバルクイナは助け船を出すかのように話を終わらせると、足早にジャングルを後にする。


ジャングルを出てパーク・セントラルへの近道を一人歩くヤンバルクイナ。

その表情は変わらずバツが悪そうなものだったが、街へと向かうその足取りはどこか軽やかなものにも見えた。


〜〜〜〜


所変わり、こちらはパーク・セントラルの市街地__の路地裏。


「くすん……くすん……」


生温い風を出しながらゴウゴウと無機質な音を立てる室外機の横でうずくまるように座り込んでいるハブは、誰に気付かれるともなく一人すすり泣いていた。


「なんだよぅ……そんなつもりじゃないのによぅ……」


別に好きで暴れ回ってフレンズ達を襲った訳ではなかった。

昨日から変に感情がモヤモヤして、どうしたらいいか分からなくて、気付けば外に飛び出してむちゃくちゃに走り回っていたらみんなに迷惑をかけて、挙句の果てにはこんな薄暗い所に逃げ込んで。


最低だ。胸中で毒付いて自分を責めても、嫌な感情がグルグルと渦巻くのを止める事はできずにいた、その時。


「あら、誰かいるの?」

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