わがまま

わがままな私はご飯が美味しくないと訴える。はいはいと、変えを持ってくる。


わがままな私は欲しいものがもらえないと泣いて訴えた。はいはいと、いろとりどりのおもちゃから選ばせてもらった。


わがままな私は学校で流行っているからと言って文房具を買ってと訴えた。はいはいと、次の日文具屋でキラキラの鉛筆を買ってもらった。


わがままな私は地球滅亡から逃れる宇宙船チケットをもらっても、地球にいることを訴えた。はいはいと、か細い腕と、塗装の剥げた表情を見せる。もう修理してくれる人は地球にいない。燃料は地球でしかとれないものだった。たった一人の機械仕掛けの家族。


遠くの夕焼けが眩しい中、爆音とともに閃光が走る。最後の便が出発したみたいだ。


わがままな私は一緒に最期を待つことを訴えた。はいはいと、言いながら手探りで私の頭を撫でた。

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