修復士
僕の仕事は修復士だ。
どんな道具や武器も元の状態に直してしまう。
この手があればかざした部分を不思議な力でみるみるうちに修復してしまう。
まさに神の御手。街のみんなからは評判がいい。
そんな僕には心に決めた人がいる。
彼女は僕の修復屋の向かいの花屋を営むレーナさん。
ぱっちりのお目目に色白の肌。可憐で気品のある方だ。
まさに高嶺の花だが、僕は勇気を出してデートに誘ってみたらまさかのオッケーだったのである。
今日はそのデートの日。
朝向かいのレーナさんを迎えにいき、その後洋服屋や美味しいご飯やをめぐった。夕日が眩しくなったとき、近くの公園のベンチで語らうことにした。昔飼っていた猫の話、彼女のお母さんの話、将来の夢。
知らない一面をどんどんさらけ出してくる。
彼女は恥ずかしそうに笑う姿がとても愛おしく思う。
ふと彼女が見つめてきた。こちらもそれに応えようと、顔を近づける。
お互いの顔しか見えなくなった時、僕はレーナさんの顎に手をそえた。
みるみるうちにレーナさんから化粧が剥がれていき、最後にはレーナさんとは似ても似つかぬ人となっていた。肌は褪せて、目は小さく、思った以上に鼻は潰れていた。
彼女は僕の驚いた顔をみて状況を理解し、走って逃げ出した。
僕はレーナさんの化粧上手な一面を知った。
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