第四章 焼べるもの

儀礼

謁見

 青の薔薇。

 リ・エスティーゼ王国王都をホームとして活動するアダマンタイトの冒険者プレートを保持する女性のみで構成されているチームである。

 この青の薔薇、冒険者の本文を逸脱した活動を多岐に渡り行ってきていた。

 その為冒険者組合からはあまり良い顔をされていないが、アダマンタイトと言う冒険者最高峰の実力と、ラキュースの貴族子女としての立場。さらには後ろ盾として第三王女ラナーと言う存在があった為、組合は彼女達の様々な行動について黙認してきた。

 そんな組織と言う枠組みに拘らない性格の者たちが、現状の王国を変えんとして動いている様を見たらどういう行動を起こすのか言わずもがなであった。


 ラナーが王国へとモモンガの意向を伝え終わった後、一行はトブの大森林奥地にあるグラウンド・ナザリックへとシャルティアのゲートを使用して移動し、デミウルゴスの指導を受けていた。

 元々王国では高位の冒険者だった青の薔薇と王族のラナーであった為数日程で、礼節を学び納めたと判断をされることになった彼女達は、正式にモモンガとの謁見を許可された。

 そこで彼女たちは理解する。

 神の存在を。

 エ・ランテルで出会った時、自分たちと会話をする為に御力を抑えて下さっていたのだと。


「ナザリックの神、アインズ・ウール・ゴウン・ナザリック・グレンデラ・スズキ=モモンガ=サトル様のご入来です。頭を垂れ、御威光を受けなさい」

 階層守護者統括のアルベド様が玉座傍に控え、アインズ様の入室を宣言し頭を垂れ傅いた。

 私たちもここに集う他の守護者の方々に倣い頭を垂れる。

 先日にエ・ランテルで会った時の様な気やすさは微塵も存在していない。今ここに在るのは緊張、崇拝、忠誠だ。

 カツン。

 硬質なものが床を吐く音が響くが、玉座の間が広すぎて音の反響音が届くまで時間差を感じる。そして、この音の余韻が消える頃を見計らい次の指示が出される。

「面を上げよ」

 今回の謁見、正式ではないとはいえナザリックに所属することが決定している私たちの為に正規の手順を踏まず、アインズ様が御声を発して下さいました。

 黄金の輝き亭で会談を行っていた時とは比べるのも憚られる程の違いを感じます。

 これが、その御力を隠さずに見せてくれた本当のアインズ様。

「ラナーよ、先の役目ご苦労であった」

「有り難う御座います」

 真っ赤に燃えさかる両のまなこ、その炎に宿る君臨者としての意志。

 その瞳に捉えられたラナー。そのラナーにモモンガは語る。

「先の約束通り、今後王国の民の安全は私の名に於いて安堵しよう」

「はい、アインズ様の庇護下に於かれ、我が父、そして王国の者達は感謝する事でしょう」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る