王国の貴族
「貴様らの様な何処の馬の骨とも知れぬ連中が、勝手に私の領地内で軍を動かしたのだ当然の主張だろう。」
「貴方は勝手にと仰いますが、此度の件我々はリ・エスティーゼ王国第三王女ラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフ様の依頼を受けて行動しています。」
「ふん!何を戯言を!ラナー様からの依頼と言うが、ここは私の領地内だ。勝手に事を進められるのは困りますな。」
このような問答がエ・ランテル以外の王国各地で行われている。
今回起こった死の螺旋騒動は、エ・ランテル以外は全て貴族派閥の領地で起こった。
故に、黄金と呼ばれ平民からの信頼が厚いものの、女の王族風情が勝手に判断を下し、どこの者とも知れない自らを神と名乗る存在が派遣してきた不遜な輩の配下の軍が、勝手に行動したと言葉をのたまうのであった。
そして領地内での軍事行動を許可なく行ったとして賠償請求をする貴族ばかり。
彼らの不運はその言葉を、彼の配下の目の前で言ってしまった事だろう。
これに激怒するのは、守護者を筆頭にしたナザリックの子供たち。
此度の件の報告と王国に対してどのように行動するかについての話し合いの場に集まった、守護者各位が鼻息荒く言葉を重ねている中モモンガは一言。
「皆の気持ちはうれしく思うが、鈴虫の囀りに怒りを向けるものではないさ。な?ナーベラル。」
と、何処か悪戯っぽい仕草で以って、今はメイドとして控えるナーベラルに声を掛ける。
ナーベラルは何処か罰の悪そうな表情をしつつも。
「はい、モモンガ様、あのような蟻のお遊びに感情を向ける必要は無いかと。」
転移した直後から幾許か過ぎ、モモンガの寵愛を受け心に余裕を持つことが出来るようになったナーベラルは、仕える主が自らに向けられる嗜虐的な志向に「今日は一方的に攻められたい」と思いを馳せるなか、会議は進んでいった。
守護者たちの議論が白熱する中モモンガはふと思う。
皆過激だな~っと。
だが、その気持ち解らないではない。
組織の代表が貶されるという事は、そこに所属する者達全員に対する侮蔑だ。
モモンガも憤りを感じてはいる。しかし、それでも義憤に駆られて感情を暴発する真似はしない様に常に心掛けてきた。
しかし、守護者たちは違う。何よりもモモンガが、そう絶対支配者で慈悲深い至高の御方を貶されたのだ。
モモンガはどんどんと過激になっていく案を止め修正をする為に発言をする。
「皆の気持ちは良く分かった。だが、流石に王国民皆殺しは看過出来るものではない。」
「しかし、モモンガ様。」
「まー、落ち着けデミウルゴス。何もやらないという訳ではない。そこでだ、こういうのはどうだろうか?」
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