象徴として
ガゼフとカルネ村と統治計画
カルネ村襲撃事件の翌日、モモンガは朝食に舌鼓を打ち料理長に感謝の念を伝え食事を終えると。五名のカルネ村生存者を執務室に呼びだして、これからガゼフと今後の事を話し合うための席に同席するように伝える。
カルネ村周囲にあるグリーン・シークレット・ハウスでは、すでに王国戦士団も朝食を終えており、開けた草原で軽めの訓練を行っているようだ。
そんなところに黒い渦が浮かび上がると、そこからモモンガがアルベドとセバスを伴ないルベドを護衛として表れる、続いてカルネ村の五名もこの場に姿を現し、外で訓練をしていた戦士団の一人に声を掛けガゼフとの話し合いに来たことを告げたのだった。
「では、ガゼフ殿。まず初めに彼女達のこれからについてから。」
「そうですな。」
「彼女達は私の方で保護したいと思います。」
「それは・・・。」
「昨日の内に彼女達の方から申し出がありまして、今後は私の保護下に置いて生活をしたいと。」
「う~む。」
「ガゼフ殿が悩まれるのも解ります。自国の民でもない私に預ける事を問題視するのは至極当然。」
「あー、いえ。サトル殿に対してそのように思っているわけではないのです。しかし、お恥ずかしながら我が国の貴族たちがなんと言うか。」
「それに関しましては、後日私も王都に向かう予定ですので、その時にガゼフ殿の紹介で何とか貴族会議等に出席させていただけますか?」
「サトル殿・・・、そこまでの覚悟ですか。」
「えー、保護を申し出た以上、余計な禍根となる要素は極力排除したいので。」
「解りました。私が王都に帰還し次第、この件も含め我が王にお伝えし、後日王都にご招待する形に持っていこうかと思います。」
「解りました。私どもは私どもで、この辺りを中心に活動しながら、スレイン法国に派遣した配下の者たちを使い、彼の国と交渉をします。なので王族の方か貴族の方かは判りませんが、お話が出来るようでしたら、こちらから同行させる者たちにお知らせください。それで私の下まで連絡が来ますので。」
「解りました。」
「はい、よろしくお願いします。あー、それと一つ言っておかなければならないことがあります。」
モモンガはそう言いながらシェイプシフトを解き、人間形態からオーバーロードへと姿を変えた。
「驚かれないのですね。」
「いえいえ、驚いております。が、成る程と納得できてしまいまして。あれほどの力をお持ちなのです。唯者ではないと思っていましたので。」
「まー、この姿はガゼフ殿を信用したからこそお見せしました。他の方には早々見せないつもりです。」
「それが良いかと。私も王には伝えますが、内密にとお願いしましょう。」
「はい、お願いします。」
「では、私たちはこれより帰還します。」
ガゼフがそう言って立ち上がると、モモンガも立ち上がり手をさしのべる。
「私たちと王国の関係がうまくいく事を願います。ガゼフ殿。」
「それはこちらも同じ気持ちです。サトル殿。」
こうしてモモンガは、王都へと帰還するガゼフを見送る。
そして、ガゼフ達に同行するのはカルネ村に駐留中のグレンデラ北東遊撃隊からパーティ1、八名が抽出され戦士団と共にカルネ村を発ったのだった。
「お疲れさまでした。モモンガ様。」
「あー、アルベドありがとう。」
ここはモモンガの執務室。部屋にはモモンガお付きメイドとして今日はルプスレギナが居り、ルベドはいつも通り肋骨の内側にいる。
「さて、王国に関してはガゼフが王国に報告をするまでこちらから大きく動くことは無いかな?」
「はい、特に問題が無ければ、準備が出来次第シャルティアと共に王都へと準備の為エ・ランテルで合流する程度かと。」
「では、王国に関しては一先ず様子見だな。さて、スレイン法国の方だが・・・、これほんとにやるの?」
そういって、モモンガが指さすのは、デミウルゴスから今朝方提出された、スレイン法国に対してどのような要求をするのか、その案を纏めた物である。
このデミウルゴスが纏めた案であるが、スレイン法国だけでなくその後も見越しての方策となっていた。
「はい、モモンガ様。こうすることによって。モモンガ様の負担がかなりの部分軽減できるかと思います。」
「とはいえなー、・・・いけるの?」
「問題ありません。モモンガ様。」
「そうか・・・、」
そういって深く椅子にもたれかかるモモンガ。
「まさか宗教国家の上位神様になることになるとはね。」
デミウルゴスの案では、モモンガはスレイン法国を直接統治しない。
国としての大枠の方針のみを決定し、運営自体はスレイン法国民に任せるというもので、モモンガはそんな国の神として君臨するだけとなっている。
勿論、ナザリックサイドからは人員を派遣し目を行き渡らせるのだが、余程のことが無い限りは好きにさせるという方針だ。
モモンガは確かに楽ではあるんだけど・・・、と思いながらもデミウルゴスとアルベドが強く推す方針に対して、少々困惑を感じている。
しかしながら、今後モモンガ自身外に出る予定なので、直接統治は出来るだけ避けたいというのも本音である。
モモンガはアルベドとデミウルゴスの自信ある声を聞き、渋々ながらもこの件を了承するのであった。
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