ナーベラル・ガンマ
「何の価値も無いゴミです。」
「はー・・・、そうか。」
この地の絶対支配者モモンガ様の、お気に召すお言葉を返すことが出来なかった・・・失態です。
ですが、ここでその思いを外に出すわけにはいきません。私は今モモンガ様の御前にて控えているメイドですから。
だけど、私はどうしようもなく怖かったのです。
「ナーベラルよ。」
そう言いつつ、漆黒のクローズドヘルムを取ったご尊顔は・・・、
俺は、シュイプシフトで人間の姿になり、ヘルムを外し声を掛けようとしたが、そこには震えているナーベラスが居て。
これはダメだ!
気付けば目の前のナーベラルを咄嗟に抱きしめていた。
「えっ。」
「すまない、ナーベラルよ。今のは配慮に欠けた行動だった。」
「い・・いえ、全ては私の・・・。」
「ナーベラルよ・・・」
私は震えてしまった。これではだめだと思う。だけど止まらない。私自身が犯した先ほどの失態。この御方に対する侮辱を口にしてしまった。あー、私は・・・ここで・・・。
そして、優しく抱きしめられる。
「えっ。」
「すまない、ナーベラルよ。今のは配慮に欠けた行動だった。」
「い・・いえ、全ては私の・・・。」
「ナーベラルよ。これは私の失態だ。」
「違います!モモンガ様!」
モモンガ様は私の言葉を遮り、力強くも優しい声で語りけてくれる。
「ナーベラル、聞け。」
「はい。」
「私の事をどう思っている?」
「この地の絶対なる支配者です。」
か細い声で応える私。でも・・・、あんなことを言った後にこのように言ったところで、意味はない。
「そうか、ではそれでいいではないか。」
モモンガ様はそんな私を許してもらえるのですか?
「ただ、そうだな。もし人間と接するときがあれば、演技は必要だぞ。」
「はい。」
さっきまでの恐怖に打ち震えていた身ですが。モモンガ様に受け入れていただけたと思った途端、私は非常に幸せを感じてしまっています。
「さて、では、私はどうすればナーベラルに許してもらえるかな?」
私は今のこの幸福をもっと長く感じていたいと思ってしまい。
「すこし、強めに抱きしめてくださいますか?」
「そんなことでいいのか?」
「はい。」
私戦闘メイドプレイアデスのナーベラル・ガンマはただの女になってしまいました。
暫くすると、アルベドよりメッセージが入る。
「モモンガ様、マーレから地上部の造成が終了したと報告が入りました。」
「解った。今から幻術を掛けに行こう。」
お相手はアルベド様でしょうか。何故か解りませんが理解できます。
少し・・・いえ、かなり心が揺れ動いてしまいました。はー、モモンガ様はこの地の支配者です。私以外の女性へと優しい声を掛けるのは至極当然という事なのに。
その声色から、先ほどの言葉と共に放たれた愛情に嫉妬しました。
すると、それに気づかれたようで・・・、頭を撫でてくれるモモンガ様。
もう、戻れない。確信しました。
「ナーベラルはかわいいな。さて、俺はこれから地上に出る。ナーベラルもついてくるか?」
「はい、お供いたします。」
でも、仕事は仕事として熟さなければ・・・、公使を混同してはダメよナーベラル!
などと思いながらも、モモンガに抱きしめられたままに第一階層から地表部へと続く出入口へと転移した。
転移した先ではすでにデミウルゴス様がお見えになっており、私とモモンガ様をみて「おや?」といった表情になられました。
流石に私もモモンガ様以外の方がいる所で、このまま抱き着いているわけにはいかないと思い。急いでメイドとしての立ち位置に着きました。通常よりもモモンガ様に近い位置ですが。
先ほどアルベドより、モモンガ様が幻術をこの世界に行使されるべく、地上部に再度お見えになると聞き、私はいつでもお迎えできるよう墳墓出入口にて待機していたところ。
ナーベラルがモモンガ様に抱きしめられた状態で転移していらっしゃいました。
ナーベラルは私を見て、非常に名残惜しそうにメイドとして、モモンガ様のお傍に控えましたが、大分近いですね。
それにしましても、さすがはモモンガ様。我等配下に対するその御配慮、まさに王として誠素晴らしいです。が、ここはご婦人の御前です。それには触れないのがよろしいか。ですが、これからナザリック外に赴かれるのです。少し休憩をなさっていただきましょう。
「モモンガ様お待ちしておりました。すでにマーレは仕事を終えております。もうしばらくお待ちいただければ、こちらに来ると思いますが、如何いたしますか?」
「そうだな、では、まずここでマーレに労いの言葉を掛けるとしよう。」
暫くすると、トットットと軽やかに、今回の大事業の立役者マーレが近づいてくる。
「モモンガ様!御身の前に!」
「ふむ、マーレよ今は公の場ではない、そう鯱張らずともいいぞ。デミウルゴスもな。」
「はっ。」
「はい!モモンガ様!」
「して、マーレよ。あれだけの大規模な事業であったのにも関わらず、よく迅速に対応してくれた。これに対して何か送りたいと思うのだが、何か欲しいものはあるか?」
モモンガ様は、僕に何か欲しいものが無いかと聞いてくれました。僕は後ろに控えているナーベラルさんを一瞥して・・・、ちょっと迷ったけど。
「でっ、では、ギュッとして下さい!」
「ハハハ、マーレはかわいいなー。ほれ。」
モモンガ様は朗らかに笑って、手を広げて待ってくれています。
「えいっ。」
僕はちょっと勢いを付けて飛び込み、格好いいモモンガ様のガウンと、それに包まれた美しい玉体に抱きしめられました。そして、モモンガ様をぎゅっと抱きしめ返して、とても幸せな気持ちでこの時間を堪能します!。
いやー、子供ってかわいいな!
モモンガは無邪気に抱き着いてきたマーレをそっと支えながら、この胸の中で安らぎを感じているであろう表情をしているマーレをみて、ほっこりしていた。
そんな中、それをじっと見つめるのは少し遅れてやってきた、マーレの護衛をしていたルベドであった。
ルベドの胸中はただ一つ「ずるい」である。後ですりすりしようと強く心に決めるのであった。
「では、マーレよそろそろ私は幻術を掛けに行く。第六階層に戻り通常業務に戻ると良い。」
「はい!モモンガ様!ありがとうございます!」
そう元気いっぱいに声を出し、「失礼します。」と言って礼を取り、転移していった。
「さて、デミウルゴスよ。私は幻術を掛けた後、少々気分転換をしに夜空を眺めようと思うのだが、問題は無いか?」
「はい、問題ございませんモモンガ様。ですが、このナザリック上空二百メートルから三百メートルの間は未だ、警戒の目が行き届いておりませんので、そこに留まる際は十分にお気を付けください。」
これってあれだよな?さっきのナーベラルが抱き着いていたのをみて、気を使ってくれてるんだよな?
「そうか、ならそこに留まる際は十分に気を付けよう。」
「それと、念のためにルベドには周辺の警戒を命令した方がいいと思うのですが。」
「ふむ、ルベドよ頼めるか?」
コクンと、首を振るルベドをみて、モモンガはちょっと機嫌が悪い?ん~、後でフォローしないといけないかな、と、心に留めナーベラルを伴ない夜空を見るために転移していった。
「では、ルベド、モモンガ様の事はお任せしましたよ。」
「わかった、ここはナーベラルを立てる。」
「察しが良くて助かります。」
「すごいだろ!ナーベラル!満点の星空だ!」
今私の目の前には、少年のように燥ぐ御方がおられます。はっきり言って非常に愛おしいです。
先ほどまでの威厳あるお姿も凛々しくて大変良かったのですが、私はこちらのモモンガ様の方が・・・好きです。
「はい、モモンガ様の玉体を彩るこの輝きは何物にも代え難いと思います。」
「ハハ、そうかナーベラルよ。」
私はモモンガ様の背に手を添え寄り添っていました。
背中に感じるのはナーベラルの温もり。暖かい。
一回簡易の幻術を掛けた時にすでに見ているが、改めてみるとホントすごいな。
「この世界が、
「はい、いつまでも一緒に眺めていたいです。」
俺は振り向きナーベラルの肩に手を添え胸元へと引き寄せる。初やつめ。
しかし、もしこの世界にも人間が居たらと思うと、ぞっとしないな。まー、リアルと同じ結果になるとは限らないが、可能性としてその結果を見ている身としては捨てきれない。
「この世界、守るために手に入れるか。」
「モモンガ様の愛があれば必ずや、全ての物は御身の
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