星空を見上げ

ドレスルームで

 忠誠の儀の後、モモンガはマーレとルベドと共に地上に上がり、仮の幻術を施した後マーレに土のドームでグレンデラとナザリックを覆い隠すように頼み。その護衛としてルベドを残して、ナザリック内に帰還していた。

 この時グレンデラ軍のチュー・オと地上から星空を眺めながら、過去ヘルヘイムで起こったワールドウォーについて軽く思い出語りをし、「この世界も支配しますか?」と、言葉がチュー・オから出たのだが、これに対してモモンガは、「武力は極力使わないで今度は手に入れたいな」と返している。

 そんな、モモンガだが少々時間が出来た為今は自室のドレスルームににて、装備に関する実験を行っていた。

 ここで、モモンガは狂喜乱舞する。

 装備の・・・重ね着が出来るだと。と。

 これによりモモンガは現状保持している装備の見直しをする。より最適な組み合わせを見つけるべく。

 そして、そこには、嬉々としてドレスルームにある各種装備を取り出しては唸っている主人を見守る、一対の瞳があった。

 彼女の名前はナーベラル・ガンマ。戦闘メイドプレイアデスの三女であり、雷系に特化した魔力系魔法詠唱者である。また、彼女を含めたメイド達はこの転移に伴い全員が、メイドとナザリックメイドの職業レベルを獲得している。

 そんな彼女は今偉大なる支配者のお姿を見て、大変穏やかな表情をしている。

「ふー、こんなものかな?」

 そこには、金で縁取られた漆黒の全身鎧を身にまとい、背中には深紅のマントと2本の巨大なグレートソード、このグレートソードは先端が扇状になっているというやや特殊な物だ。頭部は細長いスリットが入ったこれまた漆黒のクローズドヘルム。

 そして、よく見ればこれら鎧には紫色で細かな紋様が刻まれている。

 これらアイテムは伝説級に区分されるもので、モモンガがユグドラシル時代に、指揮官系の職業レベルを取得した後、近接格闘を出来るようになったと燥ぎ、嬉々として練習していた頃に作成したものだ。

 だが、終ぞユグドラシルサービス時に、これが実戦で使用されることは無かった、正直魔法詠唱者として戦闘を行った方が強かったからだが、今は転移後の異世界。

 重ね着が出来るようになった事で、モモンガは下に、ゴッズ装備を着込んでいる。

 モモンガは、どうやってあのアカデミックガウンがこの鎧の下に装備できるのかと、首を傾げながら・・・、「あーそうか、自動調節機能があったな」と、心の中で思っていた。

 モモンガは徐に背中のグレートソードを引き抜き。

「ふん!」

 ドレスルーム内を一陣の疾風が走る。

 ナーベラルの黒を基調としたシックな装いのメイドのスカートが翻る。

 圧倒的支配者は「あっ」と、目の端で瑞々しい足をしかと捉えた。モモンガはこれを誤魔化すように。

「どうかな?ナーベラル。」

「はっ、大変素晴らしく力強い装いかと。」

「そうか。」

 現在のモモンガの近接能力は、純粋な戦士職のステータスでレベル100相当。

 今のモモンガからすればかなり低い水準となる。因みにこの時のモモンガのレベルは180近い。

「まー、ほとんど指揮系のスキルしか覚えていない、見た目だけの格好だよ。」

 今のモモンガはユグドラシルで行われた、ワールドウォーという三度に渡るアップデートにより追加された、レベル上限解放のクエストを熟して、最大レベルの145迄上げ。さらに転移後に獲得した職業レベルも合わせ、レベルが一気に上がっている状態。

 ここでモモンガはふと思う。目の前にいるきめの細かい色白の肌に、黒の瞳、切れ長の眼、黒髪は長くポニーテールにしている、このナーベラルが友人の想いを受けて人間蔑視の思考を持っていたことを。

 今後どのような展開になるか分からないが、もし、この地に人間種が居た場合非常によろしくないと思い、ナーベラルに問いかけるのだった。

「ふむ、ナーベラルよ。唐突だけど人間の事はどう思っている?」

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