モモンガ様に忠誠を!
ナザリック城レメゲトン、ここは玉座の前にある空間。
拝謁に当たり一時控えるための場所であると同時に、このナザリックの主に仇なす不埒者を処する最後の防衛機構。
この防衛機構は、ソロモン王が使役していたとされる、七十二柱の悪魔を題材にして建造された七十二体のゴーレムと、天井に固定された四つのクリスタル型モンスターによる上位エレメンタルの召喚と、クリスタル型モンスターによる頭上からの魔法による爆撃とも呼べる、攻勢によって玉座の間に敵が侵入しないようにするというものだ。
そんな、恐ろしい空間も子供たちにとっては、至高の御方々がお造りになった素晴らしい場所、と評価される。
そんなレメゲトンにて召集された各階層守護者たちは、いつ玉座の間へと繋がる扉が開いてもいいように待機している。
天使と悪魔が刻まれる巨大で荘厳な扉が開く。
その開いた扉から、シャルティア、コキュートス、アウラとマーレが二人並び、デミウルゴス、ヴィクティムと入室する。
体格が違う為歩幅が違うであろう彼らの歩みは、そんなことなど無いとばかりに、皆同じ速さで玉座の前に歩みを進めていた。
やがて、玉座の下まできた階層守護者たちは、モモンガから見て右手にシャルティアを置き、そこから順に並んでいく。
玉座に座るモモンガの隣にいるアルベドが、モモンガをみて軽く一礼をし一歩前に出る。
「至高の御方、モモンガ様に忠誠の儀を!」
そう言葉を放つと、アルベドは守護者の前に。モモンガから見て他の守護者たちに被らない位置へと移動する。
そして、シャルティアが一歩前に進みだし。
「第一、第二、第三階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールン。御身の前に。」
跪き胸元に片手を添え、深く頭を下げ臣下の礼を取ったシャルティア。
これに続きコキュートスが進み出る。
「第五階層守護者、コキュートス。御身ノ前ニ。」
シャルティアと同様跪き臣下の礼を取る。
次に続くは双子のダークエルフ。
「第六階層守護者、アウラ・ベラ・フィオーラ。」
「同じく、第六階層守護者、マーレ・ベロ・フィオーレ。」
「御身の前に。」
アウラとマーレはそれぞれの名を名乗った後、声を合わせて御身の前にといい、前二人と同様に臣下の礼を取る。
「第七階層守護者、デミウルゴス。御身の前に。」
体格の違いがあるというのに、見事に跪いた位置を一致させ綺麗に横並びなっている守護者たち。
「だいはちかいそうしゅごしゃ、ヴィクティム。おんみのまえに。」
その小さい手を出来うる限り動かし、自由の利かない体を動かして、礼を取るヴィクティム。
「守護者統括、アルベド。御身の前に。」
アルベドも他の守護者同様礼を取り跪くが、ここで終わらず。
「第四階層守護者ガルガンチュアを除き、ナザリックを代表し各階層守護者、御身の前に平伏し奉る。我らの忠義全てを御身に捧げます。」
一糸乱れぬとはこれの事かと、モモンガの胸中は喜びに震えていた。
「すばらしい!守護者たちよ!我らの子供達よ!」
モモンガは今オーバーロードの身体だが泣いていた。
この忠誠の儀に向け努力したこと、その結果がこの目の前に広がる光景であると。
「ありがとう!守護者たちよ!我らの子供達よ!」
モモンガは一拍の間を置き言葉を連ねる。そこにしかと感情を刻み込む為に。
「お前たちとなら、あらゆる万難を排し、素晴らしい結果を掴めることを!強く確信した!」
モモンガは泣いていた自分のなんと不甲斐ない事を。
未だ頭を垂れている子供達から、喜びの声が上がる。
「ふむ、表を上げよ。」
全員が真剣な表情でモモンガを見つめる。
「現在、このナザリック及びグレンデラは、原因不明の事態に陥っている。何故このような事態になったかは未だに分からないが、今私たちは見知らぬ土地にいることは確か。まずはこの周辺の情報を集めるのだ!」
「はっ!すべてはモモンガ様の為に!」
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