しっかりしてください
俺は情けないことに話をした後、アルベドを抱きしめ、いや、抱き着いていた。
本当に情けない。でも、そろそろ次に行かないとな。
「・・・さて、酷い姿を見せてしまったかな?」
「いえ、こうして、お傍で支えることが出来てよかったです。先ほどの事がなければ、私は貴方を支えることが出来なかったでしょう。」
「ありがとう。さて、そういう事なら、デミウルゴスとパンドラにはこのタイミングで話にいった方がいいか。」
「そうですね、では私はデミウルゴスと話をしに第七階層へ、貴方は宝物殿に。」
「解った、じゃ、またあとで。」
「はい、またあとで。」
そういって二人は別々に転移をしていくのだが、二人の決意とは裏腹の言葉を、それぞれ言われてしまうのだった。
第7階層赤熱神殿にて、デミウルゴス配下の者たちを人払いし、先の事を告げたアルベドに、デミウルゴスは。
「アルベド、僕の中で気付いていないのはあなたぐらいだったと思うよ?」
「え?」
「他の僕は、貴方がモモンガ様に頭を垂れている間か、パンドラズ・アクターに言われ玉座の間から退出した後には気付いていましたよと、言ったのです。」
デミウルゴスは、アルベドがモモンガに頭を垂れていたと部分を、殊更に協調しつ言葉を投げかけ。
「まったく、守護者統括とあろうものが、しっかりしてください。」
第十階層ナザリック城宝物殿。
モモンガもまたアルベドと同様怒られていた。
「し~~っかりしてください!父上!我らナザリックに所属する私たちの忠誠が!その程度で揺らぐことはないです!」
「あ、うん。」
パンドラズ・アクターのアーバーアクションに押され、そんな返事を返す事しかできなかったモモンガである。
ナザリック城ロイヤルスウィートにあるモモンガに宛がわれた部屋、そこの執務室にあるソファーに座っているのは、上座にモモンガと寄り添うアルベドが、下座にパンドラズ・アクターとデミウルゴスが座っている。
このナザリックの絶対支配者と守護者統括は、どこかシュンっとした雰囲気を漂わせていた。
「さて、先ほどの話ですが。」
「はい、」
二人の声が見事にあう。
「その件に関しては、何も問題ございませんモモンガ様。それよりもアルベド、モモンガ様をお支えする立場の貴方がその体たらくでどうするのです?」
モモンガ、アルベドに向けられる言葉だが、それは自分も同じだよなと、デミウルゴスの言葉を聞きながら考えさらに落ち込む。
「そうね、デミウルゴス、これは私の失態よ。今後はこの様な事が無いようにするわ。」
「して、父上、今後の方針は何か考えておられますか?」
モモンガは魔王モードに切り替えつつ。そうしないとやってられなかった。
「うむ、今階層守護者に任せている、各階層の状況を聞いてそれによって修正をする必要があるかもしれんが、とりあえずはこのナザリック・・・、グレンデラ沼地を含む、私の支配領域の隠蔽が最優先だ、また、それと並行して防備と防衛体制、さらに情報共有システムの構築だ。」
「そうなりますと、隠蔽には父上のお力を?」
「そうだな、私の装備するこのワールドアイテム、モモンガ玉を使用し幻術を掛ける。その後防備として、マーレに土のドームの造成をしてもらった後に、ドーム内が空洞ではないという認識になるように幻術をかけなおそうと思う。」
「なるほど、実際に覆い隠すドームを造ったうえで、幻術を掛ける事により、隠蔽率が上がると。」
「そうだ、デミウルゴス。そして、防備防衛に関してはグレンデラ軍がメインだ。基本はナザリックに侵入者を入れないという前提で行う、これはデミウルゴスに任せる。」
「はっ、その大役見事果たして御覧に入れましょう。」
「そして、アルベドには情報共有システムの構築を頼む、が、この構築はグレンデラ軍とナザリック間での調整が必要になるだろう。ナザリックに関してはアルベドの裁量に任すが、グレンデラはデミウルゴスの管轄、両者協力をし事に当たってくれ。他に何かあるか?」
しばしの沈黙。
「モモンガ様、これで問題ないとのことです。」
沈黙という回答を受け、アルベドがモモンガに声を掛ける。
「うむ。それと、パンドラよ、アイテムの事で何か解ったことはあるか?」
「今のところは特筆して報告に上げることは無いですが、やはり差異自体は存在しています。」
「そうか、例えばどんなものが在った?」
「そうですね・・・、ポーションの中身を他の器に移すことが出来ました」
「そうか・・・、仮想から現実になったのだものな。そうなるか・・・。そうなると、ポーション製作の工程も変わっているとみるべきか。」
「そう考えるのが良いと思います。」
「当面の間生産部門は慌ただしくなるだろうな。パンドラよ、アイテムの調査がある程度進み次第、順次生産部門の実験開発を始めさせてくれ。お前は各部門の情報を統括して円滑に動くように調整をしてくれ。」
「畏まりました!父上!」
「さて、こんなものか。」
「貴方、そろそろ時間だと思われますので、玉座の間にて皆を待ちしましょう。」
「そうだな。」
「それと、もし、直近で解決するべき問題が発生していませんでしたら、式で執り行われませんでした、崇拝の儀を行わせていただけますか?」
・・・、なんかまた知らないのがデテキタゾー。
「アルベドよ、その崇拝の儀式とは?私は聞いたことが無いのだが。」
「はい、これはモモンガ様への感謝、忠誠などをお送りする為に、五体投地をいたしまして、アインズ・ウール・ゴウンの神であるモモンガ様に祈りを捧げる儀で御座います。」
「それやらないとダメ?」
モモンガは今まで維持してきた魔王の風格を解きアルベドに問いかけると、
「そういうと思いまして、今回は略式の忠誠の儀を執り行います。」
「あー、同じような感じ?」
別のだけどやらないという選択肢はない訳ね。
「こちらは、各階層守護者がこのナザリックに住まうものを代表しまして、モモンガ様に傅き、忠誠を誓うものです。」
「なるほど・・・、その程度だったらいい・・・かな?」
「ありがとうございます。それで、崇拝の儀を忠誠の儀に替えるにあたり、理由付けとして、現状を鑑み略式とする。で問題ないですか?」
「そうだね、それでお願い。出来れば集まる前に伝えておいてくれる?」
「はい、準備はこのアルベドにお任せください。」
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