異世界でゆるっとふわっとアトリエを拡張します

第53話 アトリエを広くできるの?

お久しぶりです!

新章を始めるにあたり、書籍版と同じ三人称にさせて頂きます。

まったりゆっくり書いていきますので、どうぞよろしくお願いします。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 ほんの少しだけ離れていただけなのに、家に戻ったメイはほっとした。


 少しだけこわばっていた体をお風呂で休めて、深く息を吐く。

 いつの間にか、この家が大事な我が家になっていたようだ。


 しばらくはダラダラ過ごそうと考えたメイは、家にこもって錬成をすることにした。


 まだまだ作っていないものがたくさんあるのだ。


「今日は何を作ろうかなぁ」


 錬成の本をめくって、考える。


 椅子はたくさん作った。

 作り過ぎて部屋の壁際に並んでいるくらいだ。


 本当は大きな家具も作ってみたかったけど、さすがにこの部屋の中には入りきらない。


「もうちょっと部屋が広ければいいんだけど……」


 そう言って部屋の中を見回す。


 最初はちょうど良い大きさの部屋だと思っていたけれど、物が増えてくると手狭になってきた。


 一応衝立ついたてを作ってベッドは見えないようにしているが、それでもやっぱり寝室くらいは別にしたい。


 それにできればもう少し大きなベッドが欲しい。

 シングルサイズのベッドだと、ロボと一緒に寝ていると少し狭く感じるのだ。


「ちょっと大きくなってきたもんね~」

「わんっ」


 初めて見た時は灰色のボロ雑巾のようだったロボだが、今ではすっかり艶々とした毛並みの、柴犬ほどの大きさのモフモフになっている。


 かけ流しの温泉になっているお風呂にも、嫌がらずにメイと一緒に入っているので、石鹸のいい匂いがするほどだ。


「ねえ、オコジョさん。家を増築する方法ってあるの?」


 メイは横から錬成の本を覗きこんでいるオコジョさんに尋ねてみることにした。

 この家を増築できるとしたら、オコジョさんの謎魔法しかないと考えたのだ。


 そしてそれは正しかった。

 オコジョさんは「あるよ~」と軽く返事をした。


「そういう大切なことは早く言ってってばー!」


 メイが頬をふくらませると、オコジョさんは「ごめんごめん」とヒゲをそよがせる。


 絶対反省してないに違いない、と、メイはじとっとした目でオコジョさんを見つめた。


「それで、どうやって増築するの?」


 メイが聞くと、オコジョさんは錬成の本の一番後ろのページを開く。

 そこには初めて見る錬成のレシピが載っていた。


「まずね、それを作るんだよ」

「えっ、これを?」

「うん」


 メイは目を丸くしてオコジョさんの差したページを見つめる。

 そこには『階段の作り方』というレシピが書かれていた。



 

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