第46話 ドレッシングにマヨネーズ

 味気ないサラダをつつきながら食べていると、ヘルベルトさんが「どうした。口に合わぬか?」と聞いてきた。


 う~ん。正直に言っちゃっていいのかなぁ。


「いえ。おいしいんですけど、できればドレッシングが欲しいです」


 とりあえず先においしいアピールはしておこう。


「ドレッシング?」

「はい。それをかけるとサラダがもっとおいしくなります」

「ほう。それはどんな材料でどうやって作るのだ?」

「それはですね……」


 私は腕輪から青い表紙の錬金の本を取り出した。


 今までも私がこんなのがあったらいいなぁと思ったレシピが増えていたんだから、絶対どこかにドレッシングの作り方が書いてあるはず。


 そう思ってパラパラとページをめくると。

 やっぱりあった~♪


 えーっと。なになに?

 材料は――



 レモン汁1/3個分

 オリーブオイル大さじ1

 白ワイン大さじ1

 白ワインビネガー大さじ1

 塩小さじ1/2

 ブラックペッパー少々



 ふむふむ。ここでも簡単に手に入りそうな材料だよね。ワインがあるんだから、ワインビネガーもありそうだし。


 で、作り方は、っと。


 まずレモンを絞ってレモン汁にしておくのね。

 そうしたら、材料を全部錬金釜に入れてかき混ぜれば出来上がりなんだ。か~んたん!


 普通に作る場合は材料を入れる順番がありそうだけど、錬金釜で作るから、材料をまとめて入れちゃえばいいみたい。


「すぐに作れるのか?」

「材料さえあれば作れますよ。えーっと、レモンとオリーブオイルは、これで代用できそうだから、白ワインと白ワインビネガーがあれば作れます」


 庭で採れた果物にレモンっぽいのがあったし、オリーブオイルっぽいのもある。

 塩とブラックペッパーは万能調味料を使えばいいしね。


「用意させよう」


 待っていると、すぐに白いコック帽をかぶったおじさんが白ワインを運んできた。


 もしかしてこの人が料理を作った人かな。

 って言っても、まだサラダしか食べてないけど。


「えーっと、じゃあこの材料を錬金釜に入れて、混ぜます!」


 材料をちゃんと計って、錬金釜に入れて、ぐ~るぐるぐ~るぐる。

 そして、かんせ~い。


「でっきた~♪」


 錬金釜の中のドレッシングを少しずつ皆のサラダにかける。

 さっそく食べてみようっと。


「いっただきま~す。ん~。これこれ~。やっぱり、ドレッシングはおいし~」


 さらにマヨネーズも欲しいなぁ。ドレッシングと一緒に食べたら……。ごくり。


 よし。作っちゃえ!

 金の卵を使って、っと。


 錬金の本にもレシピが書いてあるから、この分量を入れれば黒焦げにならないもんね。



 卵黄 1個

 酢 大さじ1

 レモン汁 小さじ1

 塩 小さじ2/3(4g)

 マスタード 大さじ1

 サラダ油 110g



 酢って白ワインビネガーでもいいかな。サラダ油はないから、オリーブオイルで代用して、っと。


 マスタードは……。万能調味料さんの万能さに任せよう!

 きっと味を調えてくれるはず。


 じゃあ錬金釜に入れて、レッツクッキング♪


「でっきた~♪」


 わ~い。久しぶりのマヨネースだ~。

 このこってり感がたまらないね~。


「メイだけずるいよ~」


 横に座っているオコジョさんが、ぷくっと頬をふくらませている。

 オコジョさーん。そんな顔しても可愛いだけだよ。


「あ、ごめんごめん。オコジョさんも食べる?」

「うん。それは何?」

「マヨネーズっていうの。あ、これがあったらポテトサラダも作れそう」


 他にもスクランブルエッグもできるし、トーストの上にマヨネーズと卵を乗せて焼くのもおいしいよね。


 よ~し。明日の朝はこのメニューで決まりだね。


「メイ、おいしいねぇ」


 マヨネーズをかけたサラダをパクパク食べるオコジョさんの髭に、べったりマヨネーズがついている。

 後で綺麗に……。あ、クリーンの魔法があるから大丈夫かな。


「メイ。我々も少し頂いて良いだろうか?」

「あ。すみません。どうぞどうぞ」


 じーっと見つめるヘルベルトさんに頷くと、皆一斉にマヨネーズをかけたサラダを口にした。


「なんだこれは。今までオイルと塩しかかけていなかったが、コクがあって奥深い味になったぞ。これならいくらでも食べれるな」


 そう言ってヘルベルトさんはパクパクとサラダを食べ始めた。

 よく見るとジークさんたちも凄い勢いで食べている。


 まだこれからメインのお肉が待ってますよ~!

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