第42話 バジリスクをやっつけろ
ゆっくりとした動きになったバジリスクは、ジークさんたちの攻撃によってダメージを受けていく。
よし。これならトゲトゲーニャも当たるんじゃない?
そう思って投げると。
「えいっ」
あ、すっぽ抜けた。
どこに行くの~!
哀れ。トゲトゲーニャは茂みの向こうに。
元気でね~。
って、そうじゃない!
トゲトゲーニャはポスンと落ちて爆発した。
すると……。
「ギガガガガ!」
「何かに当たったー!?」
そして茂みから出てきたのは、もう一匹のバジリスクだった。
「つがいだったか!」
ジークさんがバジリスクに攻撃しながら叫ぶ。
新しく現れたバジリスクは、トゲトゲーニャの攻撃を受けて激怒している。そして一直線に私へ向かってきて攻撃をしようとする。
でも。
「あれ?」
噛みつこうとした牙も、皮膚を裂こうとした爪も、何かにはじかれたように届かない。
「そっか。無敵バリアーがあったんだ。えーっと、それなら」
バジリスクの攻撃が当たらないなら、こっちのものだよね。
あれを試してみようっと。
「バトル装備は攻撃重視のおまかせで!」
そう宣言すると、シュシュッと装備がはがれる音がする。
今気がついたんだけど、もしかしてこれって装備がはずれて裸になってるなんてことはないよね!?
恐ろしい予感に下を向くと、そこにはちゃんと最初に来ていた水色のロリータ服があった。
ほっ。良かったぁぁぁぁぁ。
どういう理屈になっているのか分からないけど、おまかせ装備は元の服の上に装着されてるみたいだ。
安心していると、次々に新しい装備が装着してゆく。
えーっと、今度の装備はどんなのだろう。
って、下を見ると。
メイドさんからゴスロリさんにへ~んしん!
そして手には銀色に光る剣。
メイドさんよりゴスロリの方が強くて格好良さそうだよねと思いながら剣を手にして立っていると、ジークさんたちも攻撃しながら目を丸くしてこっちを見ている。
「ジーク、あれはもしかして伝説の剣レーヴァテインじゃないか?」
「もしかしなくても、そうだな」
「どうしてメイが持っているんだ。女巨人シンモラが持っていると言われているはずだぞ」
「……メイについては、考えても無駄だな」
アレクさんとジークさんが見事な連携で攻撃しながら会話をする。
「巨人が持つだけあって大きくて重そうだけど、振り回せるのかな」
クラウドさんが心配そうに私の手を見ている。
えっ。
巨人の剣!?
なんでそんな物が私の手に?
それを用意してる界渡りの魔女って、一体何者なの~!
「メイ~。攻撃しないと、バジリスクがよそに行っちゃうよ~」
「そうだった。オートモードでおまかせ」
最初にオートモードにしておけば良いってわけじゃないのね。装備を変えたら、オートモードも解除されちゃうってことかぁ。
オートモードにした途端、剣を持った腕が勝手に動く。
思ったよりも重くはない。
ヒュンヒュンヒュン。
手にした剣が、バジリスクを切り裂く。
ぎゃー。
血が、血がぁぁぁぁぁ!
思ったよりもスプラッタな光景に、思わずぎゅっと目をつぶる。
でも目をつぶっても攻撃は続いているみたい。
やがて、ザシュッと止めを刺す音がして、恐る恐る目を開けると、動かなくなったバジリスクが目の前にいた。
はぁ。
倒したぁ。
手に持った剣をそのままにしてしゃがみこむ。
勝手に戦ってくれるのはいいけど、結構スプラッタでハードだった……。
「メイ、早く心臓を取らないとダメだよ」
そうだった!
でもどうやって取るの?
「僕がやろう。メイは錬金の準備をして欲しい」
「了解!」
確かに私が心臓を取るよりクラウドさんに任せたほうが綺麗な状態になりそうだもんね。
それじゃあ装備を解除してから、ミニ錬金釜を出してっと。
用意をしている間に、ジークさんたちもバジリスクを倒したみたい。
さすがミスリルランクの冒険者様!
「材料は、金の卵とペガサスのしっぽ.の毛とバジリスクの心臓。心臓は二つあるから、二人分作ればいいかな」
「二人分には多いんじゃないかなぁ」
近寄ってきたオコジョさんを見上げる。
「そうなの?」
「一滴飲めば効くよ~」
「そっか……。じゃあ残りは保存しておけばいいかも」
二つ分だから、瓶が二個出てくるのかな。
とりあえず作ってみようっと。
「じゃあ石化を治す薬を作っちゃお~」
クラウドさんが血のしたたる心臓を入れるところはあんまり見ないようにして。
うん。オッケ~。
ぐーるぐる、ぐーるぐる。
ぐーるぐる、ぐーるぐる。
「でっきた~。か~んせ~い♪」
やったー!
石化を治す薬ができたよ。
これでうさ耳おじさんを治療してあげよう♪
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