第7話 お風呂でまったり

 気を取り直して、布団やシーツを作ることにする。


「すぐに何か作りたいって時のために、材料を入れておく棚が必要だよね。とりあえずは籠をいっぱい作るべきかな」


 やらなくちゃいけないことがたくさんあるけど、順番にやってこうっと。


「とりあえずこれで大丈夫かな。後はお風呂に入って歯磨きをして寝るだけ」


 と、そこで部屋の隅に置いてあるバスタブを見る。


 オコジョさんが家具セットと一緒に出してくれたもので、猫足つきのバスタブだ。

 とりあえず水が出る蛇口は一個ついている。


「オコジョさん、このお風呂、お湯は出るの?」

「蛇口をひねれば適温が出るよ~」

「どうやってお湯が出てくる仕組みになってるんだろう……?」

「そういうものだから?」


 どうやらオコジョさんにも良く分からないらしい。

 謎めいているけど、そういう物だと思って納得するしかないのかも。


「でも湯船だけじゃなくてシャワーも欲しいなぁ。というか、独立したお風呂が欲しい。ねぇ、オコジョさん、増築ってできるの?」


 あのオコジョさんの謎パワーでちゃちゃっと増築してくれないかな。


「さっきご飯を食べたから、そんなに大きなものじゃなければ大丈夫だよ」

「じゃあお風呂場を作ってくれる?」

「それくらいならギリギリ作れるかなぁ」

「お願いします」

「部屋と同じナチュラルでいいの?」

「うん」

「分かったよ、ボクに任せて。……ナチュラルなお風呂場、どんとこーい!」


 オコジョさんがバンザイをすると、部屋の片側に新しいドアがついていた。


 やったー! お風呂だー!


「ありがとう、オコジョさん!」

「どういたしまして」

「じゃあさっそく見に行こうよ」

「気にいってくれると嬉しいな~」


 さっきの猫足バスタブは部屋からなくなったから、このお風呂場の方に移動したのかな。

 せめてシャワーくらいはついてるといいなぁなんて思いながら、お風呂場のドアを開く。


 それを見た瞬間、私は狂喜乱舞した。

 だって……。


「うわぁぁぁぁぁ。温泉だー!」


 だって、そこにはまるで温泉旅館にあるような素晴らしいお風呂が存在していたんだもの。思わず歓喜の声を上げずにはいられない。


 旅館の露店風呂くらいの大きさはありそうなお風呂は、やっぱり露店風呂っぽい岩の湯船でできていた。一番奥にすり鉢みたいになってる岩があって、そこからお湯が沸きだしている。


 てっきり猫足バスタブがついた普通のユニットバスかと思ってたら、こんなにスペシャルなお風呂にランクアップしてたなんて!


 しかもシャワーもついてる。

 ひゃっほー!


「えっ、ナチュラルってこういうこと? わーい、やったー! ナチュラルばんざーい!」


 お風呂。それは日本人のソウルパートナー。

 しかもそれがかけ流しの天然。


 うん。自分でも何を言ってるんだか分かりません。


 いや~。でもテンション上がるな~。だってお風呂だよ? しかもかけ流しだよ?


 石鹸とかシャンプーはないみたいだから、それは錬金で作らないとダメっぽい。

 確か石鹸のレシピは有ったような気がする。材料は椿と石……だったかな。今日はもう遅いから諦めて、明日さっそく作ろうっと。


 あと必要な物はタオルでしょ、寝巻……はさっき作ったから、後は下着かな。


「材料が足りるかなぁ」


 見事に全部、材料が綿ばっかりだ。

 確認してみるとギリギリで全部作れそう。


 よーし。さっそく製作だー!


「タオルは綿が一個とヒール草が一個。へえ、ヒール草も使うんだ。これでいいかな」


 ぐ~るぐる、ぐ~るぐる。

 ぐ~るぐる、ぐ~るぐる。


 かき混ぜ棒でかき混ぜて~っと。


「か~んせ~い♪」


 ふわふわタオルのできあがり~!


「錬金、楽し~い!」


 混ぜるだけでできるのがいいよね。

 じゃあ下着も作って。


 ぐ~るぐる。


「これもかんせ~い♪」


 これで今日の錬金はおしまい。


「オコジョさん、先にお風呂に入ってくるね」

「うん。ごゆっくり~」


 お風呂場のドアを開けると、そこには夢のかけ流し温泉が!


 ふわぁ。

 生き返る~。


 なんだか長い一日だったなぁと思う。

 色んな事が一度に起っちゃったし。


 でも不思議と前の世界への未練はないんだよね。細かい記憶がないからなのかもしれないけど……。

 まあ錬金は楽しいし、コッコさんは頼もしいし、オコジョさんは……ちょっとポンコツだけど、いい相棒だもんね。


 お風呂でまったりした私は作りたてのお布団にもぐりこみ……。お風呂から出たぬくぬくのオコジョさんを抱きしめて眠った。


「よ~し、明日からも、がんばるぞー!」

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