第8話元年と悲鳴

 後日談というか、その後。

 その日のうちに生徒会に部活名の変更を打診して後、正式にその名称で今後のすべての活動、並びに記載が変更された。

 その通知がうちの部活に届くと、俺らは一様に頭を抱えた。

 「マシになった気がしない……」

 この悲痛な響さんの呟きがすべてを表しており、俺らは纏わりつく沈黙に未来が真っ暗になった。

 俺らがこれから学べたことは、集団のボルテージが高まると、どんどんと全く違う方向へと暴走し出すこと。つまり、船頭多くして船山に上る状態である。

 そして、俺らには名前を考えるというセンスが全くないこと。いや、一つ一つの着眼自体は悪くなったかもしれない。ただ、俺らにはそれらを統合し昇華する才能が微塵もなかったのである。

 俺らはきっと、この日を、この瞬間を、忘れない。。

 今日から続いていくのだ。俺らの伝説が。

 今も、その記念碑が堂々と響さんの後ろにそびえ立つ。

 産声こそ、悲鳴だったのだ。

 生まれ落ちたその時から、涙は止まることはないのだ。

 あの日の称賛が恥ずかしい。あの日の讃え合いが視界を暗くする。

 勝者などはいなかった。居たのは、狂人のレッテルが張られた敗者だけであった。

 「生徒会は……、少しは自由を制限しろ!」

 その響さんの叫びだけが、大気を揺らした。

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