3章 3話 ジロウと蛇五郎

 期せずして会いたかった人に会えたのは大収穫。

 ライラさんの言う通り遠回りして良かった。やっぱり人助けはするもんだね。


 それにギルドに人探しの依頼をしなくてよくなったのも助かったわ。

 もし依頼した後だったら金貨数十枚が無駄になるところだったなんて悔やんでも悔みきれなかった。

 だって日本円で数十万円だよ? それが節約できたなんて嬉し過ぎる!

 こういうところで小市民魂が抜けられないんだよねぇ。



「まぁ食え。儂を探しにわざわざやって来たのなら多少の労いぐらいはするし、あの世話になった爺さんが元気なのも分かったしな」



 ピリ辛味――もとい『ジロウ』さんはこの森の中の村で唯一の宿屋兼食堂の椅子に座って出された料理を頬張っている。

 ジロウさんの名前や経緯を教えてくれたカッシーラ近くの村にいたお爺さんと出会った話をすると、簡単に信用を得たようでニコニコ顔で「飯はまだか? 食ってけ」と案内されたのだった。


 店内の食器や什器はこの森で伐採されたものなのか、木製の物が多くどれも真新しいと言えるほどで汚れやシミなどはほとんどない。

 たくさんの人がすり減らしそうな床も色合いはまだ鮮やかだ。

 最近作られた食堂なのだろうか。


 それはともかく、この小学生の中学年か高学年ぐらいの見た目で『儂』とか言われたら違和感バリバリ過ぎまだ慣れない。

 サラサラの宝石かと見紛うほどの艶のある銀髪。ぷっくりとした肌に子供特有の体温の高さからか血色は良く、海を思い出させる群青の瞳。

 けれどその所作や言動は完全に少年のものではないチグハグさがある。

 格好も大和伝の【猟師】専用装備の毛皮などは羽織っておらず、この世界の普通の少年が着そうなラフな服装だった。

  


「すっごい気になるんですけど、ピリ辛味っていう名前はなんなんですか?」


「ん? あぁ孫が付けた名前だな。元々大和伝をやっていたのは孫だったんだ。十歳までは親の許可なしにフルダイブのゲームはできないだろ? あの子の親はフルダイブゲーム反対派で儂がアカウントを作って孫が遊びに来た時にやらせていたんだが、そのうちに飽きてしまいよってな。ちょうど暇だったんでやり出したら儂の方がハマったってわけだよ。さすがにピリ辛味なんてとんがったネーミングセンスの発想は儂にはない」


「なるほど。なんだか納得しました」



 このアバターの見た目も名前もお孫さんが作ったんだね。

 中身がお爺さんなのに少年に戻るのに憧れて、なんて言われたらどうしたもんかと思ってたよ。



『ねぇねぇ、あーちゃん』


「なに? 豆太――ろおおおおおおおおおぉぉぉ!!!」



 呼ばれたので横を振り向いたら、パックリと大口を開ける白蛇の口の中に豆太郎がいて飲み込まれようとしていた。

 すぐさま立ち上がり白蛇の首(?)を思いっきり掴む。

 豆太郎をお昼ご飯にさせてなるものか!!



『ぐぇぇぇぇ! 本当に飲んじゃうから! それ本当に飲んじゃうからぁ!』


『どっきりだいせいこうー!』



 首をこれでもかと締め付けられた白蛇が苦しそうに呻き、豆太郎はいそいそと口から這い出てぴょんと私の肩にジャンプしてくる。

 どうやらイタズラだったらしい。

 心臓止まるかと思ったよ。

 


「ちょ、ちょっと驚かせないでよ……」


『それはこっちのセリフよもう! 私の柔肌に跡が付くぐらい締め上げてくれちゃって! 単なる愛のあるイタズラじゃないのよぉ失礼しちゃうわ!』



 じゃを細くしチロチロと先の割れた舌で抗議してくるのはジロウさんの相方の『蛇五郎』。

 大きさは頭から尻尾の先まで二メートルはあり、胴回りはけっこう太い。

 蛇はアゴが外れない特性を持つので、絶対に入らないだろう大きさのものでも意外と口に収まってしまう。

 そうしたら毒を注入し、獲物の肉や骨をぐずぐずに柔らかくして少しずつ飲み込んでいくという寸法だ。

 だから豆太郎くらいは簡単に入ってしまった。


 一応、この蛇の性別は男性らしいが口調は女性。つまりオカマだ。

 蛇五郎という厳つい名前のくせにクネクネと体を動かしている。



「あのね、限度ってもんがあるでしょ。もし本当に飲み込んだらどうすんのよ蛇五郎」


『こっちもさっきから言ってるけど『カトリーヌ』って呼んでって言ってるでしょ? その名前を呼んでいいのはピリちゃんとジロウさんだけよ』


「蛇五郎も似合わないけどカトリーヌも全然合わないんですけど」


『あらお子様にはこの高貴なる愛称が理解できないのかしらねぇ? ねぇジロウさん、あなたなら分かるわよねぇ?』



 話を振られたジロウさんは一瞬考えたような素振りを見せ、



「……どっちでもいい」



 どうでも良さそうに呟いた。



『あらやだぁさすが流行の最先端をいく渋カワ男子だわぁ。どっちも良いっていう男の度量よね』


「はいダウト―! どっちも良いじゃなくてどっちでもいいでしたー! 明らかに興味無さそうでしたー!」


『キィ! 小娘、あなたの耳がおかしいのよ!』



 何か分からないが、この蛇五郎とは反りが合わない。

 美歌ちゃんのところのテンともそんなに仲が良いわけでもないけど、それ以上って感じ。

 お供の精神年齢が大人びてくると自己主張が激しくなってきてるようにも思える。

 いやー、私は豆太郎で本当に良かった。



「あのー、アオイさんはカトリーちゃんの言ってること分かるんですか? いやその、こう言ったら失礼ですけど、蛇と会話しているって私以上に不憫な人を初めて見た気がして……」


「失礼過ぎるんですけど!」


「すみません! 命を助けて頂いて村まで送って頂いた方に私なんて失礼なことを。ただ起きたら私の服が色々と土で汚れていたのは何でだったんでしょうか?」


「さ、さぁ? 私には皆目検討もつかないですね……」



 同じテーブルに着いているライラさんは平常運転でずけずけと物を言い、不思議そうに顔を傾ける。

 あの後、少しして正気を取り戻した彼女はさっそく弟さんに薬を調合して飲ませ、そして私に再びお礼を伝えるためにこの食堂にやってきていた。

 ジロウさんとも知り合いみたいで一緒に昼食のテーブルを囲うことに。



「お嬢ちゃんよ、はしゃぐのもいいが、せっかくの料理が冷めてしまっては意味がない。先に食え」


「はーい」



 ジロウさんに大人っぽい言い分の説教をされて素直に応じる。


 用意されたのは野菜炒めみたいな感じの料理だった。

 緑色のピーマンみたいなのとかキャベツみたいなのとお肉。

 それをパンに挟んで食べるのがここの食べ方らしい。

 バーベキューソースに似たタレも掛けられ、滴る油や肉汁がちょっと固いパンをふやかせるので食べやすい。

 

 咀嚼するとシャキシャキっとした新鮮な野菜の歯ごたえとパンの風味、そしてお肉の旨味が口いっぱいに全部一緒にやってくる。

 色々と口の中がボリューミーにごった返しているので何度も噛まないといけないのが難点か。

 一言で評するならホットッドッグ系を思い出す感じ。パリっと食感の良いソーセージとかあったら最高なんだろうなぁ。

 

 その他には赤くてピリっと辛いスープもあった。

 具材は芋っぽいのとかで黒い香辛料みたいなのも浮かんでいる。

 舌を休ませない刺激的なメニューだわ。

 

 でもまぁ軽食って感じなのでそれらを数分で全て平らげる。 



「ごちそうさまでした。思ったよりもお腹が膨れちゃった」


「おう、腹いっぱい食っとけば何があってもたいてい幸せだ」



 中身はお爺ちゃんでも子供の顔して達観したことを言われると本当に調子が狂う。

 ちなみに豆太郎たちはいつものペットフードでお腹を満たしていた。



『うまうま。かんびです』


『いつもデリーシャスねこのお味。シェフがいるなら是非、声を掛けたいわ』



 お供たちは私たちと同じ食事もするが、結局一番好きなのは大和伝産のアイテムで、嬉しそうに咀嚼している。

 これも補充が利かないやつだからそう毎日あげられるものじゃないんだけど、無駄にアイテム欄の肥やしにするのも勿体ないしこういう嬉しい日にはあげていた。

  


「それでライラを助けてくれたんだったな。助かったぜ。こいつときたら人の話を聞かずに飛び出す直情径行な悪癖があってな、最近街が物騒だから行くときは必ず複数人で行くように言ってあったんだが、まさか本当に一人で街に行ってたなんて思わなかった。というか行くなら声掛けろバカ」


「先生には迷惑掛けっぱなしですみません……」



 ジロウさんは一ヶ月ほど前からここで暮らしているらしい。

 なんでも本当はカッシーラで温泉に入りたかったが、お金が無いことに気付いて旅の途中でオークションがあってがっつり稼げるとの噂を訊いてここまでやってきたんだとか。

 


「その先生っての、何でそんな呼ばれ方してるんです?」


「ここで用心棒みたいなことをしてるからだ。自然とそんな感じの呼ばれ方をしている」


「先生はすごいんですよ! 村に大きな魔物が来ても一人で一瞬で倒しますし、変な人たちが絡んできてもノックアウト! 他にも勉強を教えてくれたりとかしてくれますし、困ったことがあったら相談にも乗ってくれるんです! 見た目は小っちゃいのに頭は大人なんです!」


「……自分にできることをやっているだけだ」



 キラキラとした憧れの眼差しでライラさんが持てはやし、あまりストレートに褒められるのが恥ずかしいのか照れ隠しにジロウさんはそっぽを向く。

 へぇ、正義の味方やってるんだねぇ。こども店長ならぬこども先生だわ。

 


『ジロウさん丸呑みしたいぐらい素敵……ぽっ……』



 白い鱗を桜色に染めるという奇怪な行動をするオカマが不穏なことを口にもらす。

 もう絶対豆太郎を近付けないようにしよ。こいつそのうち本当にやらかしそうだわ。

 それより他に気になることが生まれた。



「さっきから一人じゃ危険だ、みたいな話なんですけどシャンカラってそんなに治安が悪いんですか?」



 ライラさんが襲われていたのもそうだし、街中でも固まって行動しないといけないなんてよっぽだ。

 それに私的には景保さんが襲われた場所でもある。ここで情報を得ておくことは大事だ。



「シャンカラが最近荒れているのも確かだが、こいつらが襲われる確かな理由は一つある。獣人だからだな」


「獣人だからってなんでですか?」


「ここら辺は獣人の地位が低いんだ。と言ってもそんなことになってるのはここ数年かららしいがな」


「アオイさんは違う土地の方でしょうから簡単に説明しますと、エル・ファティマ部族連合というのは幾つもの部族間で構成されている国です。その中で最大の派閥が七つ。そして街の数も七つ。おおよそその七部族が一つの街を領土として治めていると考えて頂いて構いません。シャンカラは七つのうち第二位の勢力を誇る『ゲノン族』が治める土地です。そして数年前に当主になった『アジャフ・ゲノン』は獣人を人と思っていない男なんです。彼の屋敷には捕まって奴隷のように扱われている同胞がいるという話も聞きます」


「こいつの親父も逃げる時に捕まってそれ以来会えていないんだそうだ」



 すっごい重い話になってきた。そこまで腐っているとは。



「父は強い人ですからきっとどこかで生きているとは思うんですが」



 ライラさんが顔を少し伏せる。

 おそらくその時のことを思い出しているんだろう。

 


「街のトップが獣人を蔑ろにしているから、住人も同じ価値観になっているってことですか?」


「まさしくそうです。あそこではもう獣人を傷付けたり物を盗ってもまともに裁かれません。全ての人がそうとは言いませんが、他人から奪うことに何の躊躇もない輩は私たちを獲物のように狙ってきます。だから街にいたほとんどの獣人がこの森に避難してきて、それからこの村が生まれました。最近は少ないですが最初の頃は野盗が来ることもありましたし、森の中にあるのと領主に配慮して行商人もあまり寄り付きません。シャンカラに買い出しに行って正体がバレると絡まれるのでたいていは一塊になって行動するような有様です」



 なかなかバイオレンスな土地になってるなぁ。

 元々絶対数がただの人間よりも少ないし、虐げられても反抗できないんだろうね。



「ということは、さっき襲われたのはやっぱりターバンで耳を隠していたけど見つかっちゃって強盗に遭ったということ?」


「そうでしょうね。ひょっとしたらどこかで顔を覚えられていたのかもしれません。それに私たちが襲われやすい理由はもう一つあって――」


「ライラ! その先は言わない方がいい。お前は口が軽すぎるぞ」


「ぴゃー! す、すみませぇぇぇん」



 ここまでほとんど和やかだったジロウさんの空気が一変する。

 言葉自体は普通でも彼の咎めるようなきつい目線は、ライラさんが問答無用で平謝りする迫力を秘めていた。



「ここまで話しておいて仲間はずれですか?」


「俺を捜しに来ただけのお嬢ちゃんには関係ない話だからな。まっ、内緒だ。あまりずけずけと人様のことに首を突っ込むもんじゃない」



 指を一本、自分の口の傍に立て『しー』という仕草をするジロウさん。


 ハードボイルドな大人がやったら格好良いかもしれないけど、子供がその仕草しても悪戯してるようにしか見えない。

 ただわざとおどけるようにすることこそ、露骨に何かを隠そうとしているのが窺い知れる。

 まぁここまで言われて引かないほど空気読めないJKじゃないよ葵さんは。



「まぁじゃあそっちはいいです。ただ別にジロウさんを探してたってわけじゃないんですよ。ジロウさんと出会ったのは本当にただの偶然なんです」


「? どういうことだ? てっきり同郷の人間を探してここまで来たんだと思っていたが?」


「実は――」



 私はここに訪れた経緯を話した。

 景保さんと出会ったこと、土蜘蛛姫を一緒に撃退したこと、カッシーラで吸血鬼騒動に遇い美歌ちゃんと知り合ったこと。

 そして――景保さんのSOSのこと。


 ライラさんは半分以上、話しに付いてこられなかったけれど、ジロウさんは神妙な面持ちで全てを聞いてくれた。

 それから彼は少しだけ腕を組んで目を閉じ、苦しそうにゆっくりと息を吐き沈黙する。

 情報を咀嚼して整理しているかのようだった。



「そうか、色々と大変だったな。まさかあっちのボスまでこっちに来てるなんて思いもしなかった。それにレベル百の【陰陽師】がやられる何かか……」


「まだ死んだわけじゃないです。おそらくですけど。フレンド欄からは色は消えていませんので」


「すまん。押される何か、だな。そしてお嬢ちゃんはその陰陽師の安否が知れるまでは帰るつもりはないと?」



 ジロウさんの質問に頭を縦に振って無言で首肯する。


 現在、私にとっては景保さんは一番頼れる存在で、あの死戦を潜り抜けた仲間だ。

 もう知らない仲ではない彼が不本意なまま離脱するというのはあまり考えたくない。

 せめて何があったのか知らないと、おちおち帰れやしないのよね。

 


「ここら辺でそういう彼が不覚を取りそうな強い魔物とか人って知りませんか? 例えばさっき話したような古代に作られた人形やゴーレムの生き残りがいたのなら景保さんが追い詰められるのも筋は通ります」



 私は近接職だから何とかなったけど、後衛職が街中で突然召喚獣もおらずあの人形クラスと対峙した場合は遅れを取ることはあるだろう。

 それに別のああいったやつがいる可能性だってある。



「悪いがそんな話は聞いたことがない」


「私も知りません」



 けれど二人はあっさりと首を横に振る。



「魔物は?」


「強いのはいる。この森を抜けた砂漠地帯にな。と言っても儂らの敵じゃないレベルだが」


「『大砂蛇サンドサーペント』を一人で倒せるのは先生だけですって! 普通は罠をみっちり用意して五十人規模で犠牲を出しながらようやく一体倒せるかっていう代物ですよ? 一人でふらっと消えて死体持って帰ってきたときは私たち寿命が縮まる思いをしたんですから!」


「知ったこっちゃない。一回だけ腕試しで行ったが、あそこは砂ばかりで面白みもないし暑いからもう行きたくない、それだけだ。モンスターレベルはおおよそ四十から五十ぐらいか?」



 そのレベルの魔物はこの世界基準だとかなり驚異的なんじゃないだろうか。

 今までゴブリンとか大したことのないものばっかりだったけど、油断しているとダメージを食らうぐらいのやつはやっぱりいるんだね。



「でもそんなのが街中に出るわけないですね……」



 ただしそんなのが街中に出現したとしたら大騒ぎになっているだろう。

 あの時の通信からはそういう雰囲気は無かった。

 だとしたら襲撃者は一体誰なのか? いくら考えても答えが出ず悩ましい。


 手がかりが掴めないことに俯いてしまうが、次のジロウさんの言葉で顔を上げた。



「だがな、儂には一つだけ心当たりがある」


「それって?」


「最近、シャンカラにある闘技場で連戦連勝を続けているやつがいるらしい。あまりにも強すぎてアジャフの目にも止まり護衛の座まで成り上がったとかそんな話のやつがいる」


「それが?」


「ただの強者ならそれでいいんだがな、こじつけかもしれんがそいつが『プレイヤー』でその景保とやらといざこざになっていたとしたらどうだ? 後衛職とは言え、レベル百の人間を相手に戦えるのは同じレベル百だけ、そうは思わんか?」 


 

 ドクン、と心臓が跳ねる。

 同時に血の気が引いて体の体温が低くなる感覚があった。


 今までどうしてだろう、これには思い至らなかった。いや考えないようにしていただけかな。

 テンなんかは真っ先に思いついて私と美歌ちゃんを会わせないようにしたのに。

 できるだけがいるとは認めたくなかった。

 勝手に悪者扱いしているが、それでも私には景保さんがバトルにまで発展するような落ち度があることをする人だとは到底思えない。

 もしプレイヤーが犯人だとしたら間違いなく相手は悪者だろう。


 仮にプレイヤーとの戦いになったら?

 プレイヤー同士の殺し合いになった場合、血で血を洗うようなバトルに私の体は動くのだろうか? 町中で戦闘が発生した場合、周りにどれだけ被害が出のだろうか?

 想定外の予想に思ったよりも動揺している自分がいる。 



「プレイヤーか。あり得ますね……」



 頭の中のシミュレーションは土蜘蛛姫に匹敵するほどの厄介さが想定させられる。


 まだそうと決め付けるには早い。

 でも覚悟が決めきれない心では、振り絞って紡げたのはそんなか細い一言だけだった。



「まぁ何にせよ、そんなに心配することはない」


「え?」



 だというのにジロウさんは私の不安など吹き飛ばすかのように、軽くアゴをしゃくってふてぶてしく言い放った。



「儂が一緒に行ってやる」



 こども先生素敵過ぎぃぃぃぃ!!

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