その11 サバゲ体験開始
一通り練習した後、山の方のサバゲ場へ移動。
なお使わなかったサバゲ道具は美智流先輩の車に積み込んでおいた。
「確かにここ、リアルに実戦という感じがするよな」
「これも下草を刈ったり範囲を赤紐で囲んだり、色々整備したんだ」
下草処理は主に摩耶さんの魔法だけれど、それはまあ言わない約束だ。
丸太製の椅子がある広場で美智流先輩の説明が始まる。
「さて、ここではサバゲの実戦体験をしてもらいます。
まずはバトルロイヤル。要は最後の一人になるまで勝ち残り戦です。なおルールとして、
① ゲームエリアに入るまではセレクターを確実にロックにしておくこと
② 撃たれたら『ヒット』と自己申告して、セレクタをロックにして両手を上げてゲームエリアから出ていくこと
このふたつを必ず守って下さい。
時間は戦闘準備に五分間、実戦で十分間です。なお順位は
① 制限時間を終了して残った人が1ポイント
② 敵をヒットした人はヒットごとに2ポイント
という点数で計算します。つまり隠れたままでは勝ち残れないというルールです」
なるほど。隠れるよりは華々しく戦った方が勝つというルールか。
何となく対真理枝さん的なルールだけれど、確かに戦いが派手な方が面白い。
「それでは弾倉を交換します。それぞれ三百発ずつ入っています」
アンドレア先輩と美智流先輩で四丁の銃の弾倉を交換する。
「さて、それでは移動をお願いします。赤い紐で囲った内側なら何処に位置取りしても構いません。今から五分後にブザーを鳴らします。ブザーと同時に試合開始です」
そんな訳で移動開始。
前回の経験から僕は支尾根の一番高い場所を目指す。
高い処の方が圧倒的に弾が届きやすい。その分他から見えやすいけれど。
ゲームエリアで支尾根の一番高いところまで到達。
しゃがんで周りの気配を確認、この付近までは誰も来ていないようだ。
ちょっと考えてセレクターを連射にしておく。
相手は三人だ。二人倒せれば勝ちが決定、つまり弾を温存する必要は無い。
下でブザーが鳴った。戦闘開始だ。
今のところ誰も動く気配は無い。
ちょっと遠すぎたかな。取り敢えず周りを観察しながら待機する。
動く気配が無いまま二分経過。
このままでは何も起こらなそうだ。少し揺さぶってみるか。
出来るだけ遠くに飛ぶよう下方向の木の無い部分を狙う。
セレクタを単射にして、一発撃つ。
カシャ、こっちの銃の音が響いた。それ以外の反応は無い。
単射だとあまりインパクトが無いな。三点バーストで行くか。
少しだけ狙いを変えて遠くを撃つ。
ガサガサ、大分下で反応があった。セレクタを連射に変更。音の方を狙い撃つ。
大分遠いが動く姿がチラリと見えた。目標捕捉だ。
僕も移動しながら、敵影を狙う。
跳弾でも何でも弾が当たればいいのだ。連射しまくる。
「ヒット!」
敵影は松本だったようだ。まず2ポイント獲得。
さて、松原と長尾は何処にいるだろう。
このサバゲ場は二つの支尾根とその間の谷がゲーム場になっている。
僕がいるのは奥側の支尾根から谷方向へ降りてきた場所。
もし僕と同じように松原か長尾が高い処に陣取っているとしたら、この先に進むのは不利になる。
一度戻って最高部からゆっくり水平移動した方がいい。
左右の気配を確認しながら戻る。
まだ松本以外の動きは無い。
最高部まで到達したので、横向きに出来るだけ遠くを狙ってみる。
カシャカシャカシャ、三連射したが動き無し。
ゆっくり隣の支尾根を狙って移動を開始してみる。
ゆっくり、ちょうど支尾根の間の谷筋に出た時だった。
カシャ、他の銃の音が前方から響く。
白色のBB弾が僕の少し下側を飛んで、木に弾かれた。
誰かわからないけれどいるな。足を止めて木の背後にしゃがむ。
セレクタを連射に変更して気配を伺う。
今僕がいるのは谷側だが赤テープで囲まれた端の部分。
だからこの上を回り込むことは出来ない筈だ。
もし狙ってくるなら敵は一度下る必要がある。
狙うならその時がチャンスだ。
上方向の敵が動く音は聞こえない。
ただ林の中で下草はほとんど無いし、ゆっくり動けば音はしない。
どうするか、攻めるべきか。
でも攻めるとこっちが不利な場所へ動く事になる。
敵の動きを誘うため、敵近くと思える場所を三点連射してみる。
動きは無い。
少し向きを変えて三点連射。
何か動いたような気がした。レバーを変えて連射する。
カシャカシャ、カリカリカリ……弾が出ない!
まずい、弾切れだ。向こうは気づいただろうか。
敵は動かない。
こっちは当然動けない。下手に動いたら狙われるから。
にらみ合って少しして、下でブザーが鳴った。
「終了です。レバーを安全位置にして集合して下さい」
第一ゲーム終了だ。
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