その8 薪割りも定番です
尾根道からサバゲ場経由で降りてくるとちょうど十二時だった。
ただ私の予想外の事態があった。
人数が思った以上に多いのだ。
最初の予定では女子は畑組三人と住民二名の予定だった。
しかしそれに深川先輩と金子先輩が加わり、更に美智流先輩とアンドレア先輩まで来ている。
「今日はどうしたんですか、二人とも」
「折角文明の友達が来るっていうからな。ここのフルコースを見て貰った方がいいだろうと思ってさ」
「同じくです。それにそろそろ山遊びのシーズンも終わりですしね」
そして金子先輩が竹籠とクーラーボックスを手にする。
「それでは昼食の準備をしてきます。三十分もかからないと思いますので」
「ならそれまで肉体労働だな」
アンドレア先輩がにやりと笑う。
「薪拾いをしてきたんだろ。なら薪割りもやらないとな」
そんな訳で大きい籠を持ってアンドレア先輩引率で作業小屋へ。
「太いのから色々集まっているな」
「奥の焼却炉みたいなのに火がついている。暖かい」
アンドレア先輩が頷く。
「まあその焼却炉みたいなのが何なのか、それは後でのお楽しみだな。さて、その前に薪作業だ。まずは今集めてきた薪を左手前側の空いている処に積んでくれ」
乾燥してない枝は結構重い。
何とか四人で作業して棚に枝を押し込む。
「さて、ここからはおなじみだが実は体験した人は少ない薪割り作業だ。薪割り機なんて便利な道具も世の中にはあるがここには無い。そんな訳で斧を使って割っていく訳だ。ここは太い薪を使うので丸太サイズから四回割る程度だけれどな。
まずは見本」
アンドレア先輩はそこそこ大きな輪切り状態の丸太を台に立てて置く。
「まずはえいやと振りかぶって、膝を曲げつつ大きく落とす!」
薪にばきっ、と斧が突き刺さって、綺麗に真っ二つになった。
「ここで膝を曲げないと、空振りした時にすかっと足まで斧が来るわけだ。そうなると割れるのが薪では無くて足の骨になる。そんな訳で見本をもう一回」
アンドレア先輩がやると簡単そうに薪が割れるけれど、実はあれ、初心者では無理だと思う。
僕の場合は一度目の斧で薪に刃を入れ、その後薪ごと斧を持ち上げて二回、三回と落としてやっと割れる感じだ。
しかも最初は結構薪のど真ん中に当たらなかったりする。
更に言うと丸太状態の薪、あれはかなり重い。
つまりは薪割り、かなりの重労働だったりする訳だ。
「ほら、そこで膝を曲げる! 空振りの時に危ないだろう」
「そこ、思い切りが足りない。それじゃ当たっても食い込みも小さい!」
アンドレア先輩による指導が始まる。
「何気に色々体力使うな、これ」
「薪も結構重いからな。まあ後で必要だから取り敢えず頑張って割ってくれ」
「これってどれ位使うんだ?」
「その丸太一つで一時間フルパワー見当だから、朝から始めるとその丸太六個から十個ってところだな」
「何に使っているんだ」
「それは後でのお楽しみだな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます