その4 畑とツノハシバミの実
なお畑組は当然朝から作業をしている。
今日は
「
「人参の早いものならもう大丈夫だよ。葉っぱも天ぷらにすると美味しいと思う」
「なら後でお昼用に分けて欲しいのだ」
「この人達も知り合いか?」
長尾が尋ねてくる。
「今返事したのが医学部二年の小坂井先輩、左側の背の高いのが数学科三年の摩耶先輩、向こうで雑草を抜いているのが物理学科一年の乙原さんだ」
「うちの女子大生ばっかだな」
「知り合いの知り合いという事で畑を貸しているからさ。まあこの畑も使えない状態から再生したんだけれどさ」
「完全にハーレム状態じゃないか、津々井」
「ハーレムには間違いないのだ」
こら深川先輩、なんという事を!
「女子大生二十人以上に対し、男子は文明一人なのだ。あまりにハーレム過ぎて文明が二階の自室に逃げる位なのだ」
「何だそれ」
「そういう事もあるんだよ」
長尾には想像出来ないかもしれないけれどさ。
集団化した女子は色々始末に困るんだぞ、言えないけれど。
「それはそれとして、左は畑で右はサバゲ場その二なのだ。我がガーリィアニマルズの本拠地で、更にその先はバイクレース場なのだ。全部荒れ地状態から重機や人海戦術や色々使って春から開拓したのだ」
色々の中には獣人の腕力だとか魔法使いの魔法とかを含んでいる。
でも勿論そんな事は言える訳は無い。
金子先輩が立ち止まる。
「ここで今日の収穫その一ですね。小さなトゲがあるので注意して下さい」
先輩の視線は右側の未開拓部分の雑木を見ている。
黄色く枯れた葉っぱがついている枝の先に伸びた小さならっきょうみたいな実がくっついて実っていた。
「ツノハシバミといって、ヘーゼルナッツの親戚みたいなものです。この変な形をしたのが実で、中にナッツが入っています。小さいトゲがあるので刺さらないように取って入れておきましょう」
全員で恐る恐るという感じで取っていく。
「こんなのが食べられるなんてわからないよな」
「もう少し早い時期ですと野ブドウとかアケビとかもあるのですけれどね。もう遅いのでこういった固い実のものとキノコくらいです。あとはムカゴもとれるかもしれないですけれど」
何気にツノハシバミの木が結構ある。
普通はもっと鳥等に食べられるのだろうが美智流先輩の威圧式鳥獣駆除により鳥もあまり多くない。
なので皆で採取に夢中になる。
「トゲだけれど、痛いと言うよりかゆいとか気になるという感じだよな」
「その感触が後々まで残ったりするんです。だからあまり弄ばない方が」
夢中になって拾っていると籠の底面が見えない程度までぎっしりとたまった。
「時間の事もあるので次に移動しましょうか」
「そうなのだ」
深川先輩を先頭にまた歩き始める。
すぐに川沿いの道に出た。
今度はこの道を上流側へ向かって歩いて行く。
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