その2 襲撃ツアー事前準備中
「そんな訳で、週末は津々井の家襲撃ツアーを敢行するのである。エロエロでウフフな出会いが待っているかもしれないのである」
長尾がとんでもない事を言う。
「ちょっと待ってくれ。それはまずい」
「健全な生活をしているのならナニもまずくないのである」
まあそれはそうなのだが、あいつらは妖怪だの獣人だのだ。
「だいたい稲城はバイククラブとかサバゲ部とかで何度もあそこ行っているんだろ。問題無いと思うがな」
確かにそうだけれど、でも……
「あとここから結構距離あるぞ。自転車だと坂道とかかなり辛いし」
「心配ないのである。車は先輩から借りる手筈がついているのである」
おいそこまで準備しているのか!
「大型のバンで定員は五名、だがやる気になれば荷室にあと五人は積めるのである。襲撃には問題無いのである」
何か何処かで憶えがあるような車だが、それはいいとして。
「今週末の土日なら特に何も無いし問題無いよな」
「試験も課題も特に無いのであーる」
おい、それじゃあまさか本当に。
「それなら土曜日午前十時、男子寮管理棟前集合で、津々井の家こと女子たっぷりの桃源郷へ乗り込むのである。ふふふふふ、楽しみなのであーる」
「まあ実際は普通の家だと思うけれどさ」
「要は暇なんだな、学園祭が終わって」
なんでこうなった! そう考えても遅い。
いっそ真理枝さんに頼んで車が入れないよう術をかけて貰おうか。
やる気になればこいつらは一般人だし出来ない事では無いと思う。
でもそれで逆に疑問を持たれてもまずいなと思い直す。
こうなったら皆さんに話して協力を仰ぐしか無い。
まあ怪しいところを見られなければ特に問題は無い筈だ。
◇◇◇
「うん、特に問題は無いと思うよ」
真理枝さんはあっさりと言う。
「今週泊まりは
「文明さんの御友達ならちゃんと挨拶した方がいいでしょうか」
「そこまで深く考えなくていいから。基本的に顔を出さなくて大丈夫」
「昼ご飯くらいは用意すると美鈴さんが言っています」
おいおい。
「まあ家の中では基本的に私と亜理寿で応対するよ。美鈴さんだと何故話さないのか、理由を説明するのが大変でしょ」
「そうですね。立場は単にこのお家に間借りしているだけ、それで」
「亜理寿ちゃんは高校時代からの知り合いで文明の彼女でしょ。だから彼女という立場でいいと思うよ」
いいのだろうか。
まあ亜理寿さんが嫌そうな顔をしていないから大丈夫だと思うけれど。
正直一番心配なのは亜理寿さんだ。
亜理寿さんは他人が不得意で人が多いのも苦手。
いつもの面子は魔法を使おうが何しようが大丈夫。
でも今度の集団は男性の一般人だ。
出来るだけ外回りを案内して、極力家の方へ近寄らせない事にしよう。
幸い案内出来る場所はあちこちにあるし、まだキノコもいくらか採れる。
ため池や山方面までぐるっとまわったらそれなりに時間も体力も使う。
その辺で誤魔化させて貰うとしよう。
そんな訳で計画をたてる。
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