その13 田舎の平和な午後
結局ピザの他にはワッフル六個セットというのを購入した。
クリーム・チーズ・あんこがそれぞれ二個ずつ入っているセットで、旅行研究会が出していたものだ。
ピザを受け取って車で帰る。
今回は他の人より早く家に着いた。
「露天風呂と薪割りやっておくから家の中お願い」
「わかりました」
という事で薪小屋へ。
露天風呂の方は美鈴さんが午前中に掃除して炊き始めてくれている。
だからやるのは薪の追加と輪切り丸太を薪にする作業だ。
薪小屋の方へ出てボイラーの中を見る。
そこそこ隙間が出来ていたのでに大きめの薪を数本つっこむ。
だいたい大きい薪は一時間近く持つのでこれで当座はOK。
薪小屋の作業場で輪切り丸太を台の上に置いて、斧で割る作業に移る。
最近はこれにも大分慣れてきて無駄なく綺麗に割れるようになった。
何事も経験かな、やっぱり。
そこそこ割ったところで外から車の音がした。
出てみると抜田先輩の白いバンだ。
「車はここに停めて大丈夫かい」
塚原先輩がそう尋ねてくる。
「大丈夫です。どうせあと三台くらいですから」
他に車で来るのは金子先輩、美智流先輩、摩耶先輩の三人だけだし。
「わかった。ありがとう。で、そこで何の作業をしていたんだい」
「露天風呂の準備です。だいたい今の季節は四時間くらいかかりますから」
「ちょっと見てみていいかい」
「どうぞどうぞ」
ずらっと積んである薪を見て、更にボイラーを確認し、そして露天風呂へ。
「これか、美智流先輩が自慢していた露天風呂は」
「美智流先輩とはよく話すんですか」
「同じ研究室だからね。向こうは院生だけれど」
「よく作ったなあ」
「作ったのは主に建築クラブとイライザ先輩ですけれどね。何せ人数が多いと風呂が大変で」
「それで作るって発想が凄いよな」
「その辺は主にイライザ先輩と稲森先輩ですね。今日は夕方六時以降なら多分入れると思いますけれど、試してみますか。他に建築クラブの面々も入りに来るかもしれませんけれど」
「いいね、是非試してみよう」
そんな感じで案内して戻ると、他の皆さんの車が続々とやってきた。
「それじゃ集まってきたので中行きましょうか。お昼にしましょう」
◇◇◇
昼食はやっぱりピザが半分という状態だった。
他はホットドッグ、ソーセージを揚げる方のホットドッグ、フライドチキン、大判焼き等色々。
ピザ半分と何かという感じで食べ終わったら明日の準備だ。
「夕方までずっと営業するなら百五十玉は必要だけれど、お昼までなら六十二玉で足りるよ。並んでいる人全員で綺麗にはける数という意味でね」
塚原先輩が神通力で明日の数を出す。
あとはそれに会わせて採取なり製造なりする訳だ。
家に残る美鈴さん、真理枝さん、亜理寿さん、僕の四人はうどん生地作成作業。
他は採取へ行ったのだけれど、深川先輩は網とバケツ装備だったのできっと山菜やキノコではなく別のものを採取していると思う。
うどん生地製作組はもう慣れたもので一時間もかからないうちに準備完了。
うどん生地を冷蔵庫に寝かせたところまで完成したら、私以外は風呂の時間。
何せ人数が多いので効率よく入らないと満員になってしまう。
ただでさえこの季節は空気がいい感じに冷たくて長湯には最適だ。
今日は皆さんに男性が来るから夕方六時までと言ってある。
あと三~四十分したら採取している皆も帰ってくるだろう。
この辺は山に囲まれていて日が暮れるのが早いから。
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