その4 仕込み作業
色々あって結局出店を決定。
屋台は建築クラブで作ってくれるというので仕様を金子先輩が注文して終了。
小麦粉とか醤油とか鰹節等は通販や業務用スーパーを使って揃えた。
キノコはある程度冷凍でキープしてあるが、出来れば当日早朝にも採取する予定。
家のキッチンでは一週間前から準備が始まった。
まずはうどんのつゆを作る作業。
鰹節とか煮干しとかアゴとか昆布で出汁をとるところからスタート。
水に入れたまま煮込まず出汁をとるものとか煮込む物とか色々だ。
一晩かけて取った出汁を混ぜて二種類の出汁のベースを作った。
醤油や味醂等と混ぜて軽く煮立たせ寝かせれば完成。
金子先輩曰く、『群馬県風の濃いちょっと甘めのつゆ』と『本場讃岐風あっさり出汁汁風』の二種類の蕎麦つゆだそうである。
なおここで作ったのはかなり濃いめで現場では薄めて使うとのこと。
生地の準備も始まった。
こっちは僕も参加したから多少の手順はわかる。
① 届いた小麦粉を塩水で練って水分を行き渡らせる。
② 練ったものは丸い固まりにして分厚く大きいビニル袋に入れ三十分位放置。
その間に他の小麦粉を練って固まりを作る作業をやる。
③ さっきの固まりを板の間に持って行き、上にシーツを被せて踏みまくる。
この作業のメインは僕が担当、体重が一番あるだろうという事でだ。
踏みまくって平らになったらまた女性陣が丸く固め直してまた踏みまくる。
大体百五十回を三セットやれば踏む作業は終了。
④ 踏んだものをまた丸めて冷蔵庫で寝かせる。
⑤ 前日夜に翌日分の丸めた生地を取りだし、製麺機のローラーに三回ほどかけて平たく長く伸ばす。
⑥ ⑤で作った平たく長い生地を製麺機で切って完成。
なお伸ばしたり切ったりの工程で適宜打ち粉を振ってくっつくのを防ぐ。
こんな感じで前日夜に当日分の麺を作る形だ。
なお初日分は五十玉分用意した。
この分量は金子先輩によると『休日の昼食用とほぼ同じ量』だそうである。
そして当日朝の作業。
まず午前六時頃、金子先輩を先頭に亜理寿さん、朱里さんの三人で山へ向かう。
金子先輩が予想しているキノコ発生場所でキノコを採取してくる訳だ。
一方家の方では美鈴さんと真理枝さん主力で僕が手伝いで天ぷら作業を開始。
揚げ終わる少し前にキノコ採取組が帰ってくるのでマイタケも天ぷらへ。
あとはつゆで少し煮てこれは別鍋。
ひととおり出来たら金子先輩の車と僕の車に色々積んで学校へ。
学校で屋台を準備してくれている稲森先輩達と合流。
屋台は家で切っていった竹を主材料にいかにもという感じで出来ている。
本来はタイヤ二つの大型アルミ製リアカーなのだがタイヤを更に1つ追加して傾かないように改造済みだ。
そんな屋台のタンクに水を入れたりクーラーボックスに氷を入れたり準備。
なおクーラーボックスの氷は勿論亜理寿さんの魔法製だ。
初日は午前九時少し前くらいに準備完了。
屋台を皆で押して営業場所へ移動。
正面からは少し外れた今一つの場所だが平らだし水道が近いし排水も可能で便利。
ここでお湯を沸かせば準備完了だ。
今日は摩耶先輩がいるのでこっそり魔法でお湯を沸かしておいて貰った。
大鍋サイズの水を小さいガスで沸かすのは結構大変だから。
「さて、それでは初回の店番の美智流先輩、
店番は三人または四人で二時間交代の予定だ。
亜理寿さんは十一時から緑先輩、牧田先輩、寺原先輩と。
僕は午後一時以降抜田先輩、真理枝さん、摩耶先輩という組み合わせ。
まあきっと暇だと他に誰か手伝いに入ってくるとは思うけれど。
僕も次の亜理寿さんの番の時までにはここに来るつもりだし。
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