その7 歓迎兼ねて豪華な夕食

 風呂から入れ替わりに人が出てきて賑やかになったので八畳二間の方へ全員移動。

 ボドゲを三回位やったところで全員が揃って夕食になった。

 今日は大分料理を頑張ったな、美鈴さんと金子先輩。

 無茶苦茶にメニューが豊富だ。


 メインは鶏の唐揚げ。それにポテトサラダまでが普通のメニュー。

 そして川魚が南蛮漬け、甘辛煮と川エビ唐揚げ、更にドジョウの柳川風とウナギ蒲焼きまである。

 更にキノコのお味噌汁、卵炒め、刺身風、焼いた物、天ぷら。

 キノコはついさっき採ってきたものだろう。

 まさに新人さん大歓迎メニューという感じだ。


「これって大体はここで取れたもの?」

「キノコと魚は全部、野菜は半分、鶏肉その他と米は買ってきた物かな。まあ今日は特別メニューだけれどね。こんな物が取れますという感じの」

 やっぱり川魚はウナギ以外最初は抵抗がある感じだ。

 でも食べてみると美味しいから結構箸が進む。


 食べながら話ながらといういつもの状況になったところでだ。

「ところで城間さんと津々井君ってどんな関係なの?高校時代からの恋人か何か?」

 そんな事を鹿賀さんに聞かれた。


「確かに高校時代からだけれど、恋人というより知り合いというのが正しいかな」

 恋人なんて言うべたっとした表現は亜理寿さんは嫌いそうだ。

 だからそんな感じで答える。


「同じ学校だったわけ?」

「いや、違う学校。でも通学ルートがほぼ同じ」

「うーん、何か一つはっきりしない関係ね」

「色々成り行きでこうなったという感じだからさ」

 そう、成り行きという表現が一番正しいだろう。

 たまたま知っていた。つい声をかけた。ちょうどいいので相談してみた。

 そんな感じの成り行きの結果だ。


「ならいいんだけれどね。私も別に彼とかいないけれど、もし津々井君みたいな人が彼だったら色々大変だなと思って?」

「どうしてですか?」

 この質問は亜理寿さんだ。

 何気に聞いていたらしい。


「だってこれだけ女の子に囲まれているんだよ。津々井君が元々浮気者の素質がなかったとしても、この状態だと不安になっちゃうと思う。何時誰かにふらっと行ってもおかしくないと思うよ」

「そう言えば文明はその辺固いよね。今のところそういう話も目撃談も無いし」


「逆に多すぎて意識しなくなったりもしますけれどね」

 これも事実だ。

「だいたい休日の朝なんて皆さん酷い格好していたりしますから」


「それって私の事かなあ」

 そうです真理枝さんあなたです。

「わかっているなら頼むから何とかして下さい」

「でも私だけじゃないよ。大体獣人系は気を抜くと変身したり戻ったりするし」

 そのたびに全裸になるのは勘弁してほしい。


「そんなものなの、朱里?」

「自分の部屋で鍵をかけてカーテンを閉めた状態ならそういう事もあるかもしれないですね」

「ここは田舎で関係者しかいないからね。それにに露天風呂は真夜中でも入れるから、服を脱ぎ着するのがつい面倒で獣化したまま風呂行ったりもどったりして、気がついたら人間に戻って倒れていたり……。

 でも私だけじゃないからね。獣人系に限らず時に死屍累々という感じになっている事も多いし。前にゲーム大会やったときは……」


 取り敢えず話題が僕と亜理寿さんから離れてちょっとほっとする。

 個人的には亜理寿さんとの関係を含め、今の状態が悪くないと思っているから。

 勿論いつまでもこのままという事も出来ないのだろうけれど。

 制限時間は短ければあと三年半ちょっと。

 僕がここを離れるまでの間に色々考えなければならない。

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