その5 新人三人挨拶回り中
二周ずつ二回ほど走った結果、一番速かったのは
「パワーが無いから軽い分
「でもここ、凸凹だし滑るしでこれ以上速度出せないよ」
「それでいいんだ。あまり速度が出ると事故った時に酷い目に遭うからな」
なるほど。
ちなみに僕は最速ラップが一分三十八秒。
僕より最速タイムが遅いのは美智流先輩と水無先輩の二人。
この先輩二人が遅い理由は簡単で、速度を出しすぎるのだ。
結果曲がりきれず無理な走り方になる訳で。
「和美はもう少し抑えてグリップ走行を心がければ大分速くなるだろ」
「いや、やっぱりダートの華はドリフトだ、そこは譲れない!」
「まあ和美先輩はあれを楽しんでいるからそれでいいんだよね」
「そうそう。後輪を滑らせつつ無理矢理バランスをとるアレが楽しいんだ」
水無先輩自身がそう言っている位だからそれでいいんだろう。
なおカブ二台は休憩中。
「ブレーキもエンジンも過熱気味だからな、暫く冷却させるぞ」
との事である。
稲森先輩謹製の竹ベンチに座りだべっていたところ、摩耶先輩と真理枝さんがやってきた。
見知らぬ女子三人と一緒だ。
ここの活動を案内中というところかな。
「あれ、バイクは今日はもう終わりか?」
「冷却中で三十分休憩。乗るならあと十分待ってくれ」
「なるほどな」
摩耶先輩はそう言うと女子三人の方を見て説明を始める。
「ここがバイク用のダートレース場で、私を含めてここにいるのが大体バイクとかサバゲをやっている面子だ。強いて言えば文明はノンポリ派で美久や真理枝と同様物を作ったり川へ行ったり適当にやっている状態。そして
そんな訳で学年上から自己紹介」
美智流先輩から自己紹介が始まる。
薬袋先輩の次、最後は僕だ。
「工学部情報科学科一年の津々井文明と申します。この家は父の実家で、皆さんの活動にお邪魔させていただいている状態です。宜しくお願いします」
「じゃあ今度はこっちの自己紹介ね。朱里ちゃんから行こうか」
真理枝さんの台詞に黒髪おかっぱの子が軽く頭を下げる。
「
次は細身でやや赤い髪の女子。
「
最後は小柄で栗色の髪をツインテールにしている女の子だ。
「
「これでほぼ全員に挨拶は終わったかな。あとは軽くこの辺を一周してこようかな」
「なら真理枝頼む、私はちょいここでタイムトライアルしてくる」
「了解、まあそう言うと思ったけれどね」
真理枝さんの予想の範囲内だったらしい。
「それじゃまた夕食で」
「またね-」
という感じで別れた後、摩耶さんが屈伸を始める。
「どうした、摩耶」
「回数が少ないからな。次の一回だけでベストタイムを出すために準備運動」
摩耶先輩、本気の模様だ。
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