その4 スーパーカブ改でダートレース
すぐにイライザ先輩とアンドレア先輩のカブがやってきて合流する。
「それじゃまず皆で二周交代で行こう。取り敢えず年齢順で」
そんな訳で僕は最後だ。
イライザ先輩と美智流先輩がプロテクター等をフル装備で装備してスタート。
見ると山のコースとは違って結構速度を出している。
カーブもかなり寝せて曲げる感じだ。
二週目は更に速度を上げる。
カーブでは土埃を上げながら曲がっている感じ。
かなりぎりぎり、いや美智流先輩コース外に突っ込んだ!
何とか転ばずに無事に出てきてコースへ戻る。
「ラップタイムはこんな感じ。美智流先輩の二周目はコースアウトしたので参考で」
アンドレア先輩がコースタイムをつけていた。
何気に本格的だ。
「大体一周で一分四十秒程度ですか。もう少し攻めたら三十秒台前半を狙えますね」
「小石とか凸凹とかあって速度を出すと結構怖いぞ。一周目は安全側から様子を見た方がいい」
今度は水無先輩と薬袋先輩だ。
薬袋先輩は割と慎重に運転している模様。
逆に水無先輩は派手というか何というか……
第一カーブでいきなり後輪を滑らせたり、見るからにぎりぎりで遊んでいる。
「ああいう運転、実はタイムにはあまり反映しないんだよな」
「素直なグリップ走行が結果的には一番速かったりしますしね」
イライザ先輩と美智流先輩の評価である。
二周した結果、二人ともやっぱり一分四十秒ちょっと。
次はアンドレア先輩と
「私は一通りタイムを確認してから走る。だから次は文明が走れ」
「ではお言葉に甘えて」
胸、両膝、両腕にプロテクターをつけヘルメットを被る。
アクセル全開でギアをどんどん上げていくと前輪が浮きそうになる。
慌てて前傾姿勢を取って前を押さえる。
少しの凸凹で前輪が跳ねてかなり怖い。
カーブが見えると同時にブレーキング。
一瞬前タイヤが滑りそうになり慌ててレバーを解除し、また握って。
ポンピングブレーキで何とか減速して最初のコーナーを曲がる。
もっと外側からカーブを曲がればもう少し速くても曲がれたな。
そう思うともう次のコーナーだ。
これは楽しいけれど怖い。
速く走るには全体のコースを憶えて、右に左にブレーキ場所と憶えないと無理だ。
それがわかった頃には二周終了してしまった。
タイムはやはり皆と同じ程度の一分四十秒台。
厳密に見るとコースアウトした美智流先輩の次に遅かったりする。
「さて、それでは本命の私が走るとしようか」
アンドレア先輩が不敵な笑みを浮かべながら準備をし、そして走り出した。
なおタイムはイライザ先輩が計っている。
アンドレア先輩のバイクは最初のカーブを外側から綺麗に回り込んだ。
そしてその後に続く緩いカーブをひらひらと最小限の動きで曲がる。
最後の直線からの直角カーブも綺麗なラインで曲がって加速。
そんな感じで二周して出たタイムは一分三十秒ちょうど!
他より最低でも八秒以上速い。
「ふふふふふ、実力を出せばこんなものだ」
「何を、次で一気に抜いてやる」
イライザ先輩、やる気満々だ。
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